終止符 ページ15
千冬遅いな…。
未来はお酒を取りに行って、他の子に捕まってる。
千冬に動くなって言われたけど
私も帰る前にトイレをしておこうと席を立つ。
ほわほわの頭でトイレに向かっていると
ちょうど死角になる場所から声が漏れてきた。
あははって、弾むような笑い声。
沙羅ちゃん…？
「千冬くんも、まだすき？」
「あぁ」
「フフッ、一途だね千冬くんは」
「今更嫌いになる理由もねぇよ」
全身の血の気が引いた。
千冬って、ずっと沙羅ちゃんが好きだったんだ。
まだって事は、沙羅ちゃんも千冬の事…。
二人は長い年月ずっと想い合ってた……？
酔いが一気に覚めて、一目散に未来の元へ。
「未来ごめん！先帰るね！」
「え、大丈夫？酔った？」
「そ、そうなの！結婚祝いはまた別でするから！」
「ありがとう！」
早口で言い切って、お店を飛び出した。
この空間から早く抜け出したくて。
せっかく長年の想いが通じ合ったのに
“親友”の介抱でお暇なんて、申し訳なさすぎる。
二人の邪魔はしない。
千冬には幸せになってほしい。
そんな思いとは裏腹に涙が溢れて止まらない。
ゴシゴシ袖で拭っても、次々と流れてくる涙。
タクシーに乗り込み、携帯を取り出した。
連絡しないと。千冬に。
先に帰るね、って。
文字を打つ手が震える。
と、その時、千冬から着信が。
「も、しもし！」
「お前動くなつったろ！」
「ご、めん…っ」
「……泣いてる？」
一瞬、間が空いて、千冬の優しい声。
今日で終止符を打つ、長年の片思い。
そんな風に優しい話し方しないでほしいな。
苦しい。
「A？今どこ？」
「ご、めん…、もうタクシー乗って、」
「待って、泣くほど具合悪いの？」
「いや、大丈夫…」
「一旦止めてもらえよ！俺すぐ行くから！どこ？」
いつかこんな日が来るって覚悟してた筈なのに。
当分、千冬とは会えない。
ちゃんと親友として接する事が出来るようになったら
また、あそぼって連絡してもいいかな？
一緒にご飯に行ってくれるかな？
仕事の愚痴も聞いてくれる？
その時、私の隣にも素敵な人がいたらいい。
ダブルデートなんかしちゃってね。
「A？聞いてる？」
「千冬…」
「ん？」
「同窓会楽しんで？」
「バカ！お前が帰んなら俺も、」
「さよなら」
「は！？」
あなたの名前を呼ぶ事も、もう当分ない。
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えりちゃん - はじめまして！千冬の小説の中でいちばん大好きです♡︎ʾʾ (6月5日 9時) (
レス) @page50 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ？ - ずっと泣いてました。涙腺しにました。千冬くんのこともっと好きになりました。 (2022年11月5日 12時) (レス) @page50 id: dc4cbab92b (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - 泣きました〜( ;ᯅ; )matsuriさんの作品本当に好きです… (2022年7月29日 2時) (レス) @page50 id: 71c3cf5627 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみさん(プロフ) - 本当にいつもどの作品もmatsuriさまのは素晴らしいです。もう素敵すぎて逆にしんどいです笑 三ツ谷読みたいので、次作楽しみにしております！でもたまに灰谷兄弟の更新もお願いします笑 (2022年7月7日 13時) (レス) @page50 id: e87bae8502 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 初コメ失礼します ! matsuriさんの作品、とても大好きで毎日読んでいます。今回の作品も最高で更新されるたびわくわくしながら読んでいました。この度は完結おめでとうございます！次回作もあらすじ読んだだけでもうすっごく楽しみです！暑いので体調にはお気をつけて！ (2022年7月6日 1時) (レス) @page50 id: d402d271eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：matsuri
| 作成日時：2022年5月23日 18時
