心の距離 ページ38
東京を出て、二ヶ月。
お互いの仕事の忙しさも相俟って
以前より連絡の頻度も減ったし、電話をしない日も増えてきた。
遠距離恋愛って、難しい…。
「Aさーん!二番に電話です」
「了解ー!」
宮田くんから電話を取り次がれ
急いで千冬を頭から追い出す。
疲労で睡魔に勝てず、電話をしなかった自分を棚に上げて何考えてんだろ。
「最近元気ないッスね」
「そう?」
「ボーっとしてます」
「疲れかな…」
半分疲労。半分千冬。
「パァっと飲み行きます?週末にでも」
「……んー」
いいのかな?
異性と二人で飲みに行くって…。
恋愛経験が浅い私には、わからない。
「あ、彼氏さんに怒られます?」
「怒りはしないと思う…」
「たまには息抜きしましょうよ!」
そっか、息抜き…。
こっちに来て、仕事しかしてないから
余計、ネガティブ思考になってるのかもしれない!
「息抜きしようかな」
「おすすめのもつ鍋屋があるんで!」
「楽しみにしてるね」
「はい!」
久しぶりに週末の楽しみが出来て、気分が浮上した。
その日の夜。
声が聞きたくなって千冬に電話をかけた。
「もしもし」
「もうお家?」
「あぁ、今さっき帰ってきた」
声を聞くのは、二日ぶり。
「Aは?もう家?」
「うん!」
「良かった、お疲れ様」
「千冬もね」
寝室でゴロゴロしていると
鏡に映った自分の顔が、ニヤけていた。
……やっぱりだいすきだなぁ。
「てか、何でいっつも普通の電話なんだよ!」
「へ?」
「へ?じゃねぇわ!顔見せやがれ!」
「ちょ、ちょっと待ってね!」
慌ててテレビ電話に切り替えれば
「今日も可愛いですね、Aさん」って、軽口叩いて笑ってる。
「あ、そだ!」
「んー?」
「週末飲みに行ってくるね」
「会社の飲み会?」
「うん!後輩と!」
「……男?」
「男の子!」
「……二人で?」
「やっぱりダメかな…?」
フッと力が抜けたように微笑んで、
「行っておいで」
「……ありがとう」
その後の沈黙。
なんだろ。
“いいよ”そう言われただけなのに、
それが、“どうでもいい”と言われてるみたいだ。
電話を終え、二人はベランダへ出て、遠くの空を眺めている。
ほんの少し前まで、
あんなに近くに、
すぐに触れられる距離にいたのに。
東京と福岡は、今の自分たちの心の距離を表しているみたい。
そんな事を考えながら。
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mitsu_bsd(プロフ) - 最高です涙腺崩壊しましたㅜ ㅜ最後まで書いてくださり有難う御座います🙏🏻 (2025年1月29日 14時) (
レス) @page48 id: 370f06ea8e (このIDを非表示/違反報告)
みい - 面白かったです! (2024年5月1日 14時) (
レス) @page50 id: 957bb83be5 (このIDを非表示/違反報告)
えりちゃん - はじめまして!千冬の小説の中でいちばん大好きです♡︎ʾʾ (2023年6月5日 9時) (
レス) @page50 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ? - ずっと泣いてました。涙腺しにました。千冬くんのこともっと好きになりました。 (2022年11月5日 12時) (
レス) @page50 id: dc4cbab92b (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - 泣きました〜( ;ᯅ; )matsuriさんの作品本当に好きです… (2022年7月29日 2時) (
レス) @page50 id: 71c3cf5627 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:matsuri
| 作成日時:2022年5月23日 18時


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