├ 02 ページ34
これは青年が今までに起こして来た事件の収集を付ける為でもあるので、仕方がない事だった。勿論、ロベルティーネは反対した──当たり前だが、そこに盛大な証拠を残す行為になる為、彼女を含む裏社会の人間ならば、誰だって良い顔はしないだろう──が、ミネルヴァは「では、貴方がこの子を殺したのかしら?」と言う質問に対しての反論は出来なかった。
殺したとは言え、実際彼女が殺害したはドロドロに溶けてしまった二人の男だけだった。血塗れで倒れるこの青年にだけは、一度も切り付ける事なく“生かしていた”。殺し屋がやるべき行為とは到底言いがたかったが、そもそも青年を殺せと言う依頼は受けていないのだから、襲撃して来た理由ぐらいは知りたい所だったとも言える──此処で注意すべき点は、彼女が殺し屋である事はある程度の周知の事実だとしても、「無音の死神」としての実績はほぼ皆無である。何故なら、この業界では「無音の死神」は都市伝説に近い扱いをされている事もあり、それがロベルティーネである裏付けは殆どされないからだ。その為、彼女が復讐や腹いせで襲撃される事は99%の確率であり得ないと答えられる。殺し屋だからと言って、彼女に実績があるかと言えば「否」だ──案の定、襲撃した理由が存在し、それは誰かの命令に従って、恐らくは無差別に人を切り付けた様だった。
此処から断言出来るのはロベルティーネにもメルヴィンにも、況してや「無音の死神」にも用はなく、只単純に、偶々二人居たから襲った事になる。更に言えば、メルヴィンが見たと言う、痣。自分のと似てはいるけど、全く違う痣が彼の頰にあったらしいが、ロベルティーネには何も見えて居なかった。だが、それが本当ならば……。
半ば強引に連れて来られたこの家に居るのは非常にマズいのではと、ロベルティーネの警戒心を煽る。魔女がこの世に居るとして、ミネルヴァがあの青年を操っていたと思われる魔女と別人とは限らない、同一視する事だって出来る。
あの現場に来た事だって、偶然だとは言えない。「遅かったかしら」なんて、さも現場に急行して来た警察官の台詞その物。明らかにあの現場に行く事を目的としていた。
しかし、彼女を完全に黒であるとは断定出来ない。理由は、青年から聞こえて来た声である。確か、幼く可愛らしい声だった記憶があるが、それを仮に魔女の声だったとして、それと比べるとミネルヴァの声は落ち着きのある女性らしい声をしていた。
9人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月18日 21時