何時かは聞かれると思っていました ページ8
鏡「手を洗ってくる。待ってて」
鏡花ちゃんがベンチを下りて何処かへ走っていく。
『あ、ちょっ』
ベンチには私と乱歩さんだけになった。
一人で行って大丈夫なのだろうか。
確かこの辺りの地形は全部頭に入ってるって言ってた気がするけれど、まだ彼女は十四の少女だ。
あぁ、それを言えば私もまだ十六の少女か。
周りから二十代に見えるのが嬉しいのか悲しいのか自分でも良く分からない。
……彼女の事だし、ここは大人しく待っていよう。
そう思い、残っていたクレープの最後の一口を食べようとしたその時、乱歩さんが口を開いた。
乱「君、未来の事知ってるでしょ」
『うぐっ、ゲホゲホッ』
口の中にあったクレープが喉に詰まってむせる。
いや、それどころではない。
今彼はなんと言った……?
__未来の事知ってるでしょ。
何時から彼は気づいていた。
拙い、ダメだ知られてはいけない。
平静を取り繕って惚けたように笑う。
『未来の事なんて分かるわけないじゃないですか』
そう言うが、私を見る彼の眼は鋭く、全て見透かされているような錯覚に陥る。
いや、錯覚ではなく事実だ。
彼に隠し事なんて通用しない。
何時か彼にはバレると思っていた。けれど何故__
乱「正確には、未来の大体の流れかな」
冷や汗が背を伝う。
この場所から逃げ出したくなった。
でも、目の前の彼はそれを許してくれない。
乱「それに君、僕達に会う前から皆のこと知っていたでしょ」
ヒュッと息を飲んだ。
何故自分達の事を知っていたのかと軽蔑されるだろうか。
何故未来を知っていながら何もしないのかと批判されるだろうか。
そんな事をする彼等だとは思っていないけれど、それでも不安は拭えなくて。
『……どうしてそう思うんですか』
ようやく絞り出した声は、頼りなく震えていた。
321人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニーナ(プロフ) - ふわふわさん» ありがとうございます!返信が遅くなり、すみません。作者の都合で非常に遅くなってしまいますが、続編はしっかり完結させるまで書く予定なので、気長に待って頂けると嬉しいです!面白いと言って下さり、本っ当にありがとうございます!! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 65a2341deb (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ - 文ストに最近ハマり始めました!本当に面白くて好きです!続編は更新する予定ありますか?もしよければ続きが見たいです(*^^*)これからも応援しています! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 9f6e2c3f9c (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - 恋雪さん» ありがとうございます!好きって言ってもらえて、本ッ当に嬉しいです!投稿頑張ります。これからもよろしくお願いします! (2018年8月28日 13時) (レス) id: 15bf40c898 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - もう本当好きです……これからも応援してます!頑張ってください! (2018年8月27日 23時) (レス) id: 2b765a4bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - ところてんさん» ありがとうございます!投稿頑張ります。これからも見守っていて下さい! (2018年8月18日 16時) (レス) id: 15bf40c898 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ニーナ | 作成日時:2018年1月2日 5時