遭遇率14% ページ15
まさか……なんて思った時にはもう遅かった
3日間至近距離でその整った顔と髪色を見れば、そりゃあ覚えてしまう
『ま、また会いましたね……？』
「あぁ、また会ったな」
『おおう……』
淡々と返された言葉に、正直どうしたらいいか分からない
昨日はあんなに優しく撫でてくれたのに。あ、狸だったからか……
……いや、昨日のお礼言わなきゃ
『その……昨日はありがとうございました
狸とかリュックとか色々……』
「あの狸、やっぱりペットか何かだったのか」
『そんな感じですかね……』
「そうか」
『「…………」』
気まずい！！
目が凄く合うのに何も言ってくれないのが逆に辛い……
生徒手帳だって自分から言うのもアレだし……どうすれば……
会話を繋げるために、アレコレ考えてみる。
『(ダメだ、なんにもいい案がない……)』
けれど全くもっていい案が思い浮かばずに、脳内で頭を抱えた
「……たぬき」
『え？』
「だから、田貫 Aって名前だろ？
コレ、昨日拾った」
差し出された手に握られているのは、私の生徒手帳
昨日見た時と変わりなくてちょっと安心した
『あ、私の……！』
ごめんなさい、昨日から知ってました
なんて言えるわけもなく
『ありがとうございます』
私は差し出された右手を取って、生徒手帳を受けとろうと────
スカッ
『え、あのっ』
「……」
私の出した手は、虚しく空を切った
彼は長い腕を上げ、私の届かない吊革よりも高い位置に手帳を掲げている
『っとう！そい！』
私がどれだけ飛んでも、手帳にはカスリすらしない
『(どう頑張っても取れない……！っくぅ……)』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 903人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
飴は噛み砕く派 - キュンときました! (2021年4月22日 18時) (
レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
洸(プロフ) - 私、女主は少し苦手だったのですが、この小説で少し克服できました！！きゅん、、とするところが多くてとても素敵です…！ (2020年5月27日 14時) (レス) id: 6d6b8b4f55 (このIDを非表示/違反報告)
黒狐 - わっちもう思い残すこと無い。幸せだ (2018年9月2日 22時) (レス) id: c9fbf7d26a (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 初コメ失礼します。とてもさくさくと進んでいくお話で一気に読ませて頂きました。自分は鹿児島弁をよく話すのですが，あまり方言を使う夢小説が無いので嬉しかったです。これからも更新頑張ってください。楽しみにしています。 (2018年8月26日 18時) (レス) id: 1eb8274d38 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひゃぁ…番外編除けば本編完結ですかね？たぬちゃん小動物みたいでほんと可愛いですねぇ…。番外編も楽しく見させて頂いてます♪ちなみに、指切りげんまんのげんまんは拳万で1万回殴るという意味もあるそうですw (2018年7月25日 18時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めろんぱん x他1人 | 作成日時：2018年7月3日 17時
