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如何しても ページ7

フョードルは、一つ溜息をついた。
感情に左右されるなど僕らしくない、と独り言を呟けば何時ものカフェに立ち寄り、席に腰掛ける。
殆ど無意識的に立ち寄ったが、此のカフェに居れば彼女と会えると思ったのか、其れ共、只の気分転換なのかは彼にしか判り得ないことだったが、彼に取って見れば大した事では無い。
フョードルは目を伏せ、少しばかりウトウトとしていると聴きなれた声が聴こえた。
「相席、良いですか?」
バッと目を開け見上げると、彼女が居た。
動揺しながらも、平静を装うフョードルは彼女に座るよう促す。
「貴方も此のカフェがお好きなのですか?」
「はい、好きですよ」
彼は、穏やかな表情で彼女を見つめて話した。
「其れに、此処に居ると貴女に会える気がするんです」
「私も同じことを考えて居ました」
彼女の意外な返答に彼は思わず、え?、と聴き返した。
「私も、此処に来れば貴方に会える気がしました」
其の一言で、彼の心拍数はゆっくりと上がっていく。其れでも何とか彼は顔に出さないよう、努めた。時間はあっという間に過ぎていき、何時の間にか空は茜色に染まって居た。
「そろそろ帰りますね、また会いたいです...フョードルさん」
彼女は去り際に、そっと彼の冷えきった手に触れると手を振り帰って行った。
「心拍が...煩い…です」
上がったままの心拍を落ち着かせようと服をきゅっと掴み、触れられた手を大事にするような仕草で微笑んだ。
「名前呼ばれるのが、こんなに嬉しいとは思いませんでした…と云うより、何故僕の名を知って居たのでしょうか…」
疑問を抱くも、触れられたことと名を呼ばれた嬉しさか彼の足取りは何時も以上に軽く見えたのだった。

感情の名→←自慢と嫉妬



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猫袮(プロフ) - 朱鷺の砂さん» ありがとうございます! (2018年9月16日 10時) (レス) id: ee976ad875 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - すごく面白いです!続きが気になります!更新頑張ってください…応援してます!! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
猫袮(プロフ) - Tsuki☆さん» マジすか、有難う御座います(´;ω;`) (2018年8月29日 17時) (レス) id: ee976ad875 (このIDを非表示/違反報告)
Tsuki☆(プロフ) - ひぇぇ、ゴードス可愛い有難うございます(´;ω;`) (2018年8月29日 16時) (レス) id: 36c9c3900e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫袮 | 作成日時:2018年7月17日 21時

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