一問一答、一目惚れ。【荒北靖友】

きのこ派かたけのこ派か教えてください ページ11

「……アンタさぁ、山派？ 里派？」
　「なに急に。きのこ派」


　片手にたけのこの里を持った猫目がそう問いかけてきた。


　「わ、マジか。戦争だわこれは。山の何がいいの？」
　「あ、言ったね、その一言言ったね」


　全日本人共通の話題であろう、山派か里派か。一歩間違えれば友人関係すら危うくさせる戦争の発端ともなり得る話題。
　まさか出会って7日で友情破綻の危機に陥ろうとは……。


　「山だけはホントにわかんない。アレどこが美味しいの？ どこがメイン？」
　「里はクッキーが不味いから無理。山は持ちやすいし食べやすいし最高」
　「あーそれね、山派全員言うよね。食べやすいって。言うて食べやすさ求めてなくない？ なんのメリット？」


　今はまだ序の口。軽口の応酬。これ以上深い話題になれば相手への日頃からの文句、過去にあった許せないことなどに話が発展していき、取り返しのつかないことになること間違いなし。この辺りで1度辞めておこう。


　「ね、今山って言った？」


　私が猫目との戦争に終止符を打とうとした時だった。横からはいる声。それは青い髪をした目の大きい男子から発せられていた。


　「エうん、言ったけど」
　「山、山っていいよね！ なんかさぁ、生きてるって感じして」
　「あ〜……そだね、ねぇアンタ知り合い？」
　「知ってるわけないじゃん猫目の知り合いじゃないの？」


　急に横入りしてきた男子に戸惑いが隠せない私たち。そんな男子に教室の入口から声が掛かる。


　「おい、真波」
　「あ、先輩」


　この声は。


　「荒北さん！」
　「……エ、なにィ？ 真波コイツと同じクラスなの ォ？」
　「え、え、先輩知り合いなんですか？」
　「いや俺の質問に答えろよ」


　まさか教室に来ると思わなかった。思わず口角が上がっていく。何か、何か聞かなきゃ！ そう思う私の目に猫目のたけのこの里が見えた。


　「荒北さんはきのこの山派ですか？ たけのこの里派ですか？」
　「この状況で聞く？ たけのこ派」


　荒北さんはたけのこの里派らしい。


　「気が合いますね。私もたけのこの里派なんです」
　「ハ？」


　信じられない、という顔で猫目が私を見た。



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次の話に出てくるので。主人公の名字は佐藤です。名字って調べて1番上に出てきたので佐藤にしました。

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