鬼神と人喰い鬼と鬼殺隊

◇(３) ページ4

･








閻魔室を出て右。

薄暗い廊下を暫く進むと
"関係者以外立ち入り禁止"の看板が見えてくる。





それを無視して更に奥。




鬼灯の絵が描かれた扉が
閻魔大王第一補佐官、鬼灯の自室である。






「 入るぞ〜 」






趣味の悪いガラクタと貴重な書物が並び、
異臭を放つ鍋が放置された部屋の中。

血生臭いのは苛つきで亡者を何人か処したからだろうか。


いや恐らく実験か何かだろうが...亡者も気の毒に。







「 鬼灯。寝るなら布団で寝なさい 」





「...ゔぅん.........」

「 おいコラ、寝るな。布団敷くよ 」








机に突っ伏して寝る鬼灯を叩き起し、
隅に重ねられた布団を敷く。


その内に目が覚めた鬼灯は私を見てピシッと固まった。




「.....んん...？」

「 はい、先ずはおはよう鬼灯 」






「おはよう、ございます...？」






相変わらず目付きが悪い奴だ。
泣く子も黙る鬼とは彼の事を指すのだろう。



ジッと私を見つめて何度か瞬きを繰り返す。






「...幻？」

「 本物だ阿呆。幻でも夢でもない 」

「え、どうして此処に...」

「 機嫌が悪いと噂を聞いて寝かし付けに来た 」



「...はい？」






鬼灯が阿呆面をするなんて珍しい。
取り繕う事が出来ない程疲れているらしい。






「 鬼灯や 」

「はい、何ですか？」

「 仕事は大事だが、体と心の健康が一番だ 」

「はい」





「 と、私は教えたはずだが。
これはどういう状況だろうか？ 」





途方に暮れる阿呆面の息子(仮)の頭を鷲掴む。





「え、いや、仕事は仕事で...」

「 鬼灯？ 」

「すみません」





目の下に真っ黒な隈を作ってまでやる仕事なんて
この世にもあの世にも無いのだ。






「 寝ろ、息子(仮) 」






拒否権など与えない。









･

◇(４)→←◇(２)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す