◆(2) ページ15
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立ち話もなんだからと屋敷の中へ促され、
案内された部屋からは藤の花がよく見える。
薄紫の美しい花簾。
鬼を囲う為の塞で鬼から守る為の砦が
風に揺られて、まるで俺達を歓迎している様だ。
「 御前達の御館様がお茶をくれてね。
茶葉の良い香りだろう? 」
お茶と茶菓子まで用意されれば、
微かに身構えていた心が不思議と落ち着く。
"鬼"は鬼でも地獄の鬼という女性。
鬼舞辻無惨から生み出された鬼とは違う。
人間だった人喰い鬼ではない。
「 さて、坊や。聞きたい事とは何だい? 」
それは匂いを嗅がずとも目を見れば分かる。
「 ...ほう、興味深いね。
鬼にされたが呪いは自分で解いたのか 」
「はい。だから禰豆子は人を食った事は無いんです」
妹の話をする間、彼女が俺から目を逸らす事は無かった。
ジッと此方を見つめる偽り無い瞳に、
何時もは騒がしい伊之助も静かに座っている。
顎に手を当て何かを考えている地獄の鬼。
ふとその目が善逸と伊之助の方を向いた。
「 御前達がその証人かい? 」
「え!あ、えっと、はい。
禰豆子ちゃんは大丈夫です」
「 そっちの猪頭も? 」
「難しい話は知らねぇ。
でも子分を信じるのが親分だからな」
「 なるほど 」
再び彼女の瞳が俺を貫く。
「 竈門炭治郎。
御前の妹に会う事は出来るか 」
それは問い掛けでは無い。
「 此処に連れて来る事は出来るか 」
この人は、俺に言っているのだ。
_____此処に連れて来いと。
「出来ます」
その瞳は確かに、鬼だった。
side 竈門炭治郎
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待って、伊之助が難しい。
難しい話とかじゃなくて難しい。
こんな大人しい伊之助は無理だよ。
雰囲気的に必要だけども。ごめん伊之助。
猪突猛進はもう少し待ってね。
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まゆゆ(プロフ) - すっごく面白いです! (2021年6月19日 0時) (レス) id: b7969430ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - ドストライクです。更新頑張ってください! (2020年9月2日 19時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 面白いです!更新頑張って下さい! (2020年8月14日 8時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
青春を返せ(プロフ) - うわああああ!!この作品めっちゃ好きです!続きが気になる〜!更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月18日 17時) (レス) id: f38cd6c1be (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 頑張って下さい! 応援してます! (2020年5月17日 22時) (レス) id: f273bc5d9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M子 | 作成日時:2020年5月4日 3時