六人と私と、夏。

43.にがくて ページ44

Yuta.J side









それも、その人の台詞だと


……Aは、言った。









｢実はね。去年の夏も

私、ここに来たの｣



紫｢……え、？｣



｢正しく言えば、

優太と一緒に掃除しに来た、だけど｣









……元々、ここは

岸くんの、おじいちゃんの家で。






岸くんのおじいちゃんには



中二の夏に、

１度だけ、会ったことがある。








゛みんな、元気やのう゛








……岸くんそっくりの

笑った顔が



すごく印象的だったのを、今でも覚えてる。









｢２年、放置するのもあれだし、

今年は二人で行くか、って｣



紫｢……そうなんや、｣



｢一年たっただけなのに、懐かしかった。

大学生になったから、っていうのも

あったかもしれない｣









……岸くんと、二人で。


電車に乗って、来て。









勇｢掃除終わって、

　海行って？二人で花火して？｣



紫｢なんで知って、｣



｢そっか。勇太は知ってるのか｣









゛ごめん、急に電話なんかして゛









｢その夏にね、｣









゛全然いいけど。急にどうした？゛


゛……あのさ、゛









｢……フラれたの。優太に｣









゛Aに、別れよって言った゛









あの時の

電話越しの、岸くんの声が



重なって、聞こえた。









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