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誰も居ない海を前に、彼に声をかけると
変わらぬ優しい顔で見下ろされる
9月を迎える手前
少しだけ冷たい風が吹いて身震いをすると、慎はそのまま手を引いて引き寄せてくれた
「ね、慎」
慎「…ん?」
この温かい胸に抱かれると
いつも離れ難くなってしまうけれど
一度ぎゅっと腰に手を回してから
顔が見えるように身体を離す
しっかりと目を見て、伝えたいんだ
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「慎、ありがとう」
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そう言うと、慎の瞳がゆらりと揺れる
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「ずっと私の側に居てくれて、辛い事一緒に抱えようとしてくれて、ありがとう」
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困った時は、いつも慎が助けてくれた
泣いてもいいんだって思わせてくれた
沢山の笑顔を見せてくれた
…そして私に、恋をしてくれた
沢山の感謝が、溢れて止まらない
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慎「…照れる」
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暗闇の中でも、口元を手で覆って
恥ずかしそうに笑っているのが見える
これも、私が大好きな仕草の一つ
愛おしさが込み上げて思わず緩んだ顔を見て、慎は悪戯をする子供のような無邪気な笑顔を見せた
…かと思えば、また腰を両手でぐいっと引かれて、至近距離で艶っぽい顔を魅せる
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慎「A…俺の事好き?」
言わなくたって分かってるくせに…
少しの反抗心を込めて、ぷいっと海の方を見ると
慎「…こっち向いて」
頰を包まれて、また瞳を覗き込まれる
慎「ね…俺の事、好き?」
甘い声でそう言われると、反抗心も消え去って
「…好き」
その二文字は、無意識で
自分でも驚くくらい、素直に慎へと届けられる
慎「…A、好き」
満足そうに笑うと、
身体を引き寄せてギュッと抱き締められた
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この夏、慎に出会って、太陽が照りつける海のように、私の世界はキラキラと輝きだした
優しかったり、悪戯な表情を見せたり、色っぽかったり、爽やかに笑ったり…
幾度となく彼に惹かれて、魅せられて
きっと私は、これから先もずっと
そんな彼に何度も恋をする
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慎「離さないから、覚悟して…?」
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踏み出したら最後、後戻りは出来ない
惹き寄せられるように唇にキスを落とした慎は
甘く、爽やかに誘い込む波のような人__
【Fin】
Undulation. 長谷川慎
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MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
★ - また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2018年9月10日 1時