ゲームのおわり ページ39
天谷「くっ…！」ズザザァっ！
その重みで、天谷にくくりつけられた鎖が天谷ごと城の崖に引っ張っていく。
天谷は苦しそうにしながら鎖を握り、必死に自分の体を支えた。
いちか「瞬っ！！」
『高畑くん！！』
落ちていった方に向かって叫ぶが、高畑くんの声は聞こえない。
天谷「無駄な足掻きだ……っ！」
苦しみながらも口元を上げ、繋がった鎖を少しずつ引っ張り上げていく。
重い鎧は、海面から姿を現した。
天谷「……っ！！？」
いちか「……瞬…？」
海面から上がった鎧には、高畑くんの姿は無かった。
『たっ……高畑くん！！』
その時、崖の方から何かを引っ掻くような音が聞こえてくる。
ガッ…ガッ…
その音は次第に近くなり、黒い影が下から上がってくる。
「ぐっ…！っはぁ…はぁ…」
いちか「瞬！！」
その音と影は、壁を必死によじ登ってきた高畑くんだった。
天谷の引っ張っていた鎧の中には、海に沈んであった木々が詰まっていた。
高畑「はぁ…はぁ………スゥ」
深く深呼吸をした高畑くんは、苦しそうに鎖を握る天谷を見つめる。
高畑「俺は…毎日が退屈だった…
学校に行って勉強して…友達と喋ることでも、つまんねぇな、なんて思ったりして…しまいには……誰かが、こんな日常ぶっ壊してくれないかなんて、思ってたりした…」
フラフラの体を足で支える。
高畑「でも、実際違かった。本当は…そんな退屈な日常が、こんなにも幸せだったんだ。
…お前の言うとおりだよ、天谷。
俺は…最低な人間だ。大切なものが無くならないと…本当の幸せがわからないんだ…」
悲しそうな目で、高畑くんは笑う。
その姿は、今までの自分と同じようだった。
学校も、友達も、親も、自分も…
ずっと嫌で嫌で…仕方なかった、私と。
高畑「でも…だからこそ俺は…これ以上、もう何も失いたくない」
目の前にあるカンを睨み、ゆっくりと立ち上がる。
高畑「悪いな天谷。俺は……あのカンを蹴る」
天谷「…っくっ…そ…！！」ダッ
そう言って走る高畑くんを、鎧を上げた天谷は、急いで鎖をはずし追いかける。
そして、二人はカンに向かって足を滑らせた。
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ…！！」」
.
.
.
.
…っカァン
海に沈む太陽。
夕日で染まった空に、心地よい音が響いた。
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百鬼夜行破壊 - マジで最高！書いてくださりありがとうございます！ (2020年6月6日 5時) (
レス) id: 05b29fdc85 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すっごく面白かったです!!続編っていうか、、神さまの言うとおり弐も見たいです…!! (2019年3月30日 22時) (レス) id: 8acbcb59d3 (このIDを非表示/違反報告)
三葉 - ラミさん» ありがとうございます！自分でもまた書きたいのですが…泣(本編がでないから短編とかやってみたいなぁなんても思ったりして…f^_^;)) (2015年7月24日 22時) (レス) id: 7d9f1dee17 (このIDを非表示/違反報告)
ラミ - 天谷くんかっこいい!!!すごくおもしろかったです！次回作楽しみにしています。 (2015年7月22日 23時) (レス) id: 2884d33193 (このIDを非表示/違反報告)
姫香(プロフ) - あら〜＾ (2015年7月2日 19時) (携帯から) (レス) id: e11717b2be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三葉 | 作成日時：2014年12月19日 22時
