検索窓
今日:9 hit、昨日:49 hit、合計:36,443 hit

そのさんじゅー! ページ31

ー快斗sideー

嬉しかった…本当は。

受け取りたかった。「喜んで」って。

…けど、あの日、白馬と抱き合うAを見たら、普通の関係じゃなさそうに見えた。
泣いてたし、抱きしめてたし。
嘘だって、思いたかった。

あれは誤解なんだって、期待してた。

次の日になれば、彼奴はいつも通り元気で、俺に話しかけてくれる。
…きっと、泣いてた理由も話してくれる。
そう、思ってた。

…けど、実際はそうじゃなかった。
何日経っても、俺に話すどころか、距離を取られて。
青子や紅子、白馬には普通なのに。
…わかるだろ、嫉妬だよ。

俺は、一番に彼奴の力になりたい。
けど、話してくれなきゃわかんねぇ。俺は何でも読めるエスパーなんかじゃねーし。
頼ってもらえてない、って事実だけが、俺の中にあった。

…そんで、彼奴と帰ってたあの日。
彼奴は、何も言わなかった。
俺には、言えないのに、他の奴らには話してて。
ドロドロした感情が俺の中で渦巻いてた。

なんで俺には言ってくれない?

頼りない?

嫌われた?

俺は必要ないのか?


どうして…




俺は、そんな黒い感情で、まともな考えもできなかった。
…もどかしくなって、直球で聞いた。そうすると、彼奴は怯えたような色を瞳に宿した。
俺が怖いのか?
そう思っても、勝手に口が動いて、止まらなかった。









…彼奴が、俺を好きだと言った瞬間、世界が止まった。

嬉しい

嘘だ

俺も好き

ありえない

そんな感情が入り混じった。
だから、あんな冷たい言葉をかけてしまったんだ。

彼奴に対して、酷い言葉を言っている時。
俺は、誰かの目を通して映像を見てる…なんて感覚に陥っていた。

自分の事の筈なのに、目の前で起きている事の筈なのに。
…全然、実感出来なかった。

このまま言い続ければ、いつか後悔する。
俺は、何処か冷静にそう思っていた。
…けれど、口は止まらなかった。溜まってた不満が爆発するように、つらつらと俺の口から溢れ出る。

彼奴の悲しい顔さえ、俺の心には響かなかった。

同情されて、好きだなんて言われて。

…俺を馬鹿にしてるのか?

嘘じゃない、だって?

ふざけんな、俺をコケにしてんのか?

好きだから、迷惑をかけたくなかった?

あんな場面見せ付けといて、それかよ。

一方的に突きつけた"サヨナラ"は、棘のように突き刺さった。
こんなに怒りを感じてても、俺はまだ彼奴を好きなんだから驚いちまう。

…俺が言うのもあれだが…

白馬と、幸せになって欲しい。

そのさんじゅーいち!→←そのにじゅーく!



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
125人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ルナ(プロフ) - どうやったらこんな感動するストーリーが作れるんですか!?すごいですね!更新、頑張ってください!! (2020年11月15日 21時) (レス) id: 55c0655de9 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - 面白かったです!続きが気になります!更新頑張ってください応援してます (2019年8月19日 14時) (レス) id: 28703d16e4 (このIDを非表示/違反報告)
魔理沙 - 続きが気になります! 更新無理のない範囲で頑張ってくださいね! 応援してます 長々とすみません (2019年5月3日 7時) (レス) id: 28703d16e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Nameless0621 | 作成日時:2019年4月2日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。