気づいたら囲まれてた。

初対面スケアリー ページ9

カニちゃんにあれから「お前が俺の事エースって呼ぶまでしつこく絡むからな！」と宣言された。
…そんなに俺に絡みたいの？物好き。そう言ったら「そうじゃねぇ！」って。なんだよ俺の事嫌いかよ。紛らわしい。

まあいいや。移動教室からの帰り道、腹が空かないように飴をコロコロと口の中で転がしながら移動していた時だった。


？「シシシッ」


そんな声が近くからした。
…何の声だ？周りを見渡せば、何やらこちらを見てニヤニヤしている生徒が居た。…誰だあの人。あんまりにもニヤニヤしてるのでちょっと、いやだいぶキモチワルイ。

？「アンタのコレ、頂いたッスよ〜」

「…！」

ソイツが持ってたのは俺の…俺のアタリメだった。
俺の非常食…。彼奴殺す。ぜってぇ逃がさねえ。
ぶわりと全身から殺意が湧き出るのを感じた。相手もそれを感じとったらしく、若干後ずさりしながらこう言ってきた。

？「返して欲しいなら、追いかけて来いッス！！」

「…言われなくても」

すぐさま追いついてやるよ。









あれから追いかけっこする事数分、ソイツを捕まえる事に成功した。
…あ？魔法なんぞ使ってないわい。純粋に足の速さだ。…いや、足の長さか？
そいつは俺が首根っこ掴んでぶら下げている。ぴこぴこと獣耳を忙しなく動かしながら「離してくださいっス〜！」とかなんとか言ってる。アタリメは奪い返した。

「アンタ食いちぎられてえのか？」

？「そういうんじゃないっスよ…。ただ、どーしてもアンタに来てもらう必要が…」

「人の食いもん奪ってそれだけで終わり…なわけねェよなァ？」

俺がそう言って目の前の人物をユラユラと揺らす。そうすると「酔うからやめて欲しいっス〜！」とアワアワしだした。暴れられると困るのでやめてあげた。俺偉い。

？「食いもんの恐ろしさはわかってるつもりなんでそこは安心してくださいッス。実はですね…」

そこで俺は、目の前の人物が"ラギー・ブッチ"という名前であること。ブッチは二年生だと言うこと。俺をこうして走らせたのは、とある人からの命令だったからだという。
そして今いるこの"植物園"にその相手はいるのだという。

ラ「だから強硬手段を取らざるを得なかったッス…」

「…次はありませんよ」

俺がそう言うと、「助かるッス〜！」と言ってきた。
調子いい人だな。そんな会話をしていると、後ろから低い声が響き渡った。

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