気づいたら囲まれてた。 (ページ33)

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全力疾走ゲットアウェイ！ 7 ページ33

ｴﾍﾟ「もうそろそろ、ヴィルサンも帰ってくると思うよ。」

「お、そうか。」

いつのまにか寝ていたグリムを抱え、俺は立ち上がった。
携帯を見れば、『今直ぐにアタシの部屋に来なさい』と言うメールが入っていた。頼もしい先輩だ。

「ありがとな、フェルミエ。本当に助かった。」

ｴﾍﾟ「ううん、いいよ。…ちょっと聞くけど、どれくらい逃げ回ってたの？」

「えーと…いち、にい、三時間、くらいか？」

ｴﾍﾟ「そ、そったらに！？」

「え、えーと。…まあ、多分それくらい」

今のは方言だろう。
何となく驚いたのがわかるので、取り敢えずそう言っておいた。ハッ！とした顔をした後、フェルミエはこう言ってきた。

ｴﾍﾟ「…ヴィルサンには、僕が方言を使ったって言わないでね」

「…言われなくても言わねえよ…。シェーンハイト先輩そういうの厳しそうだし」

ｴﾍﾟ「ありがとう。助かるよ。」

「…フェルミエってすげーな。」

ｴﾍﾟ「？急にどうしたの？」

「いや…なんて言うか、この寮って厳しそうだし。この寮で頑張ってるフェルミエ、格好良いと思うぞ」

ｴﾍﾟ「…」

くりくりの目をぱちぱちと瞬きさせる。
俺、絶対シェーンハート先輩の扱きについていける気がしないもん。ついてけるフェルミエがすげーよ、素直に尊敬する。俺はオクタヴィネルで良かった。

ｴﾍﾟ「…そう言って貰えると嬉しいなぁ」

花が咲くように笑うフェルミエ。
可憐だなぁ。…正直、女の子に見えなくもないけど、そういうの言ったら失礼だよな。

「まあだから、あんまり本音は隠さない方がいいと思う…ぞ？」

ｴﾍﾟ「本音？」

「そう。…あ、やべ、シェーンハイト先輩待たせると怖いからもう行かねーと」

ｴﾍﾟ「え、あ、うん、気をつけてね！」

「サンキュ、フェルミエ」

ぽんぽんとフェルミエの頭を撫でてから、俺は記憶を頼りにシェーンハイト先輩の部屋へと向かった。

道中、ウミネコくん先輩に会う事は無かった。やったぜ。
その後はシェーンハイト先輩にウミネコくん先輩を叱ってもらった。ウミネコくん先輩は懲りていない様子だったのが怖い。

あれから、グリムは休息をとったからか元気になったし、フェルミエが話しかけてくれるようになった。
けどもう二度と追いかけられたくない。ウミネコくん先輩、俺苦手かも…。