【まふまふ】独り占め。Season2【歌い手】 (ページ5)

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独占欲 43 初天月サイドページ5

『まじで、奏君どういうつもりなのかな？』

「えー？何のこと？」

『今日の泊まりの事だよ』

あーそれね。と不敵な笑みを浮かべて笑う奏は確信犯。

『あーそれね。じゃないじゃん。何でAが来ること許しちゃったの？！』

「でも最終的には天月君も許してたじゃん？」

『まあ、そうだけど…。俺無理かも知んない。理性保てるわけが無いでしょ、好きな女の子と一晩だけだって言っても夜を一緒に過ごすなんて。』

「僕がいるんだけど」

『奏君は戦犯だから駄目』

こんな事を帰り道に話すのが俺達の中で日常になっていた。俺から言った訳でもない。ただ、Aに関わる俺の態度で奏君が勘づいて…そこから、帰り道がほとんど一緒なのに気づいてAと別れたあと、どちらからともなくAの話をしていた。

そう、俺はAが好き。
だから幼馴染のアイツがAと距離を離したと聞いた時、口では心配していても心では心底嬉しかったし少し舞い上がっていた、これで少しでも俺の事を見てくれるかなって。

でもそんなことが叶うはずもない。だって、Aは突き放された今でもアイツを見るとアイツと言葉を交わすと、愛おしそうな目で見て嬉しそうに話すんだから。今日、Aが保健室を飛び出していったあの時も…。

「じゃあ天月君後で集合だからね！」

『んー！分かってる』

真っ直ぐ1本の道を突き当たるとここから俺たちは左右に分かれる。奏は右で俺は左。

あとからAの家のファミレスに集合するために家に一旦荷物を取りに行かなきゃいけない。また後でなー！と、もう遠くを歩く奏に手を振りながら声を掛けると身振り手振りで振り返す。

何だか弟を持った気分で心が暖まるな…。なんて頬が勝手に緩んだ。