【まふまふ】入院生活【歌い手】

入院生活 19 ページ20

とん、とん、と肩を震わせ声を押し殺して泣く真冬の背中を優しくさする


真冬の片手は口を抑えて、もう片方は私の服の袖をぐしゃりと力強く握っている

こんな時にこう思うのはなんだけど

可愛らしいと思った。





ぎゅっと、座り込んでいる真冬を抱きしめると、私の肩に縋るようにしてそれに返そうとしてくれる






『…話、聞いてもいい？』

「…うっ、ん」




必死に答えながら頷く真冬

途切れ途切れになる言葉に私は耳を傾ける




「…俺、今までっ、手術拒否してた、っ…

死ぬのは嫌っでも…1人…で、生きるのはっ、もっと嫌

でも、俺…死ぬまでっあと少しって、聞いた、時

Aの顔が、っ浮かんで…









.









生きたいって…思っちゃった｣







そう言い終わると、私に預けてた体を起こして

ふぅ、っと深呼吸をした




そして私を見る真冬。

その顔は涙でぐちゃぐちゃだった。でも、どこか吹っ切れたようなスッキリした表情をしていた。









「俺、Aの事…好き」









目を見つめられ言われた言葉に

心臓がドクっと波打った








真冬は私と同じ感情を持ってた

私も真冬が好き、大好き


真冬の顔を朝から隣で見て、夜になったら真冬の寝顔を見ながら一緒に同じ場所で寝たい。






そんなの答えは決まってる。







でも、私は分かってる

この決断が、あとから真冬を苦しめることくらい









だから今だけ…私は真冬に嘘をつく









『…』

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