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「まがれ、かぁ。結局何だったんだろう」
ガリオンと別れ、自室のベッドに横たわって考える。
結局有耶無耶になり、ガリオンも興味を失ったような様子だったが、ロレッタはどうしてもあの紙切れに記されていた言葉が気になっていた。明らかに不自然だろう。
特別な呪文でも祝福の言葉でもなく、曲がれ、なんて。しかも遠い国の言葉でそれを伝えるなんてのが、どう考えてもおかしいのだ。
ロレッタはうんうんと唸って考える。曲がれ。曲がれ。何を曲がるというのか。どこを曲がるというのだろう。そもそも、どうしてジャパン語だったのだろう。曲がってほしいと伝えたいのであれば、英語でも問題はないはずである。ジャパン語でなくてはならない理由があったのだろうか。
それとも。
「『まがれ』は『曲がれ』じゃない、とか?」
そもそもの前提が違うのだろうか。『まがれ』は『曲がれ』ではなく、もっと別の理由があったのだろうか?
「でもなぁ」
借りてきている語学の本のページをめくる。しかし『まがれ』に近い言葉は『曲がる』くらいしか見つからない。
「先生に聞いてみた方が良いのかな。今度ワタソン先生に聞いてみようかな」
人間界学の教授、エリオット・マクミラン・ワタソンの事を思い浮かべる。かなり変わった人ではあるが、その知識は信頼に値するものであると聞いた事があった。人間界学の教授だからといって分かるとは限らないだろうが、少なくともまだ五年生であるロレッタよりも多くの知識を持つはずだ。ロレッタは明日、ワタソンに尋ねてみようと思った。
もし何か分かったら、ガリオンに教えてあげよう。図書館にいるはずだ。いや、あの紙切れに興味を失ったようだし、もしかすると別の場所にいるかもしれない。
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