【派生作品】まがれまがれ、ガリオンよ (ページ4)

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『曲がる・曲る』
『読み……まがる』
『意味』
『①まっすぐでなくなる』
『②向きを変える』
『③道理から外れる』

「これじゃないんです？」

　ガリオンが見せてきたのはそのページだった。『まがれ』によく似た『まがる』という単語。カンジでは『曲がる』と書くらしい。最後の『れ』と『る』の他は同じだ。

「ジャパン語は命令形っていって……えっと、何かをする動作の最後の母音を『E』にするらしいんです。だからこれ、曲がれって事じゃないんですかね？」

「なるほどね……でも曲がれ、って。どういう意味なんだろうね？」

「分かりませんよ。あーあ、ありがたい呪文とかだと思ったんだけどなぁ。曲がれってどういう意味なんですかね。グレろって事？道理から外れるとか、ありがたい意味ゼロだし」

　つまらなさそうに、ガリオンは頭を引っ掻く。その拍子に黒髪が揺れる。ロレッタもどうしてだろうね、と相槌を打った。

「ロレッタさん、ありがとうございます。お礼っていうか、今度の休み空いてます？奢りますよ。結構美味しいお菓子のお店があるんですよね」

「大丈夫だよ、そんな」

「あ、えっと。じゃあこうしましょうよ。ほら、私ロレッタさんと仲良くなりたいから、一緒に出かけるとか、みたいな？」

　ガリオンは言った。どうやら、どうしてもお礼がしたいらしい。ここまで強く言われると断るのも申し訳がなく、ロレッタは頷いた。一つ下の後輩に慕われるのが嫌だったというわけでもなかったし。

「ありがとう。じゃあ今週末で大丈夫？」

「はい。楽しみにしててくださいね！」