もののけ屋敷 【d!】

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『なんて？』


「せやから！えっと、なまえ」


『A』




「Aの横にいるやつなら！祓える！」



自分は所謂霊感持ちと言うやつで
大抵のものは嫌でも見えてしまう体質だったりする

その私が今の今まで気づけなかった存在が横にいると、
きらきらした顔でこちらを見つめてくるロボロは言いたいらしい


『悪そうな人？』


「え？ いや、」



『じゃあそのままでいいよ』


「そうは言っても、」


人ちゃうし、と自分の斜め後ろを睨め付けているロボロの頭を好奇心で撫でてみる
意外にも大人しく撫でられてくれるから可愛いのなんのって



「妖怪が除霊、 面白い冗談ですね」



今思えばこの時の彼はちょっとだけ拗ねていたのかも


ロボロの頭に置いていた手を絡めとるようにして尻尾の様なものが巻かれる

日を跨ぐ事なく連続でこう言うのが来ると人間動揺する気力も無くなるもんなんだなぁ、
と呑気に考えることを放棄したとは言え
恐る恐る後ろを振り向いて見ればゴーグルが付いた飛行帽に近い形のヘルメットを深く被る彼はロボロを物理的に見下ろし、挑発しているのがわかる


私からの一方的な視線に気づいたのか
ふにゃ、とその目尻にやわらかく皺を作って見せてくれた



「青二才の地縛霊一匹が亡霊語っとんの？」



負けじと煽り返すロボロとの攻防戦に挟まれながら
ふとロボロの発言に違和感を覚える

自分の横に立っているこの人は地縛霊らしいが
地縛霊とは未練ある土地に留まり続けるものであって
田舎から都会、都会からド田舎と拠点を移していた自分に憑いているのはおかしな話である

なら元々この家にいた子なのかとも考えたがロボロが知らない時点でそれは無いに等しいのではないかと


どこで、？と口に出せば深く被った飛行帽で隠されているであろうその耳に拾われてしまったらしく

どこか寂しそうな悲しそうな笑みを浮かべて見つめられる



「いけずな人やなぁ、」






貴女の膝の上で看取ってもらった仲やないですか


とは、

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