偶然トリコ

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紫耀side



紫｢耳が痛い……｣



登校中、海人からギャーギャー言われたせいで耳がキーンとして痛い。



紫「あいつも、別に俺の応援してくれてもいいのになぁ」



そんなことを言いながら教室に向かってくる途中、廊下に人が集まっているのが見えた



「岩橋先輩。俺と遊んでくれよ」


「俺らだって先輩のこと好きなんだよ」



輪の中心にいた玄樹は困ったような顔をしている


岩橋玄樹。高３の生徒会の書記で、中性的な顔と、小悪魔みたいな性格のせいでそれはモテる。モテる。


別に仲悪い訳じゃないし、止めにでも入ってやるかぁなんて思ってた時、



神｢お前、俺の玄樹に何してんだよ｣



少女漫画のヒーロー的なセリフで登場してきたのは、神宮寺勇太。


生徒会長で、顔よしスタイルよし、オマケに勉強は出来る。


スクールカーストのリーダー的存在なのに、みんなと隔てなく接する部分もモテる要素のひとつ。


そんなこいつのせいで、毎日のように他校の女子が校門前で騒いでいる。


女子が苦手な俺にとって、苦痛の時間を作っている張本人なのである



玄｢神宮寺……｣


神｢俺の玄樹なんだから、触んないでくれる？｣


「すんません……」



顔を青ざめながら逃げていく後輩を睨みながら、神宮寺は玄樹の頭をポンポンとした



神｢大丈夫？ 何もされてない？｣


玄｢うん。ありがとう。神宮寺｣


平和に解決したとわかった瞬間、みんなはそのまま散らばって残ったのは俺一人だけだった


玄｢紫耀。おはよぉ｣


紫｢おはよ。｣


神｢紫耀。おはよ。玄樹。行くぞ｣


玄｢うん。じゃあね紫耀｣


紫｢おう。じゃあな｣


そう言って去っていく2人は途中、2人でクスクス笑いあっていて……


その姿はまさに恋人そっくりだった


そうか……別に女の人だけじゃないし、女の人が無理でも、男と付き合えばいいのか。


なんて、軽ーく心の中でそう思っていた

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