▶︎ ページ25
．
「身長でかいと足長いし。Aちゃんも足長いやんか。足長いとほら、俺が嬉しいしな」
「変態やん」
「健全な男の子ですぅ〜」
「歪みまくってると思うけど」
そんな他愛もない話を続けていると、少しずつマシになってきた雪。残念にも思う。
「へぶしっ！！」
「…………大丈夫ですか？」
「あかん、やっぱ寒いわ」
「何してんすか」
風邪引かれたら困りますよ……それこそファンに何されるかわかったもんちゃうわ、とマフラーを外す。
え、と堂前さんはカイロを片手に鼻をすすった。
「首貸してください」
「え、え、Aちゃん、ちょっと」
「いいですよ、私はもうバ先に帰るだけだし、誰かさんのせいでもはや暑いし。カイロは返してください」
「あ、はい、返します」
「よし。巻けました。」
暖かいでしょう、と形を整えると、うん、暖かい……と堂前さんは人形のように繰り返すだけになってしまった。
……大丈夫ですか？と訝しげに言うと、「いや、それこっちのセリフ」と困ったように笑って言う。
「こんなカップルみたいな……」
「カップル？」
「マフラーを巻くなんて……」
「………、！……！！！」
ギョッとして、か、帰ります帰ります、とそのままUターン。
足元気いつけやー！と堂前さんが叫ぶと同時に、道端の雪に転けそうになったのはきっと、その優しすぎる声のせいだ。
ああ、
ああ、
気づいちゃった、気づいちゃったよ、これ。
"こんなカップルみたいな……"
"マフラーを巻くなんて……"
あの時の顔。なんて嬉しそうに私のマフラーに首を填めて、少し様子を伺うようにこちらを控えめに見るその視線。それでも勝ちを確信したかのように弧を描く口元。
堂前さん、堂前さん。
"僕はAちゃんと堂前くんの組み合わせ好きやけどね"
"堂前くんも満更でもなさそうやったよ。もはやAちゃんと会話しに来てるようなもんやな"
なんなのそれ。
期待していいわけ？？
ねえ、
全てに心を奪われて、頭がキャパオーバーしてパンク寸前だった。逃げて正解だ。
さっきあったのに、もう堂前さんと会いたいような、会ったら気まずいような。
こうなった責任、とってよね。
今日だけは、おつかいに駆り出してくれた店長に感謝した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流(プロフ) - 244yukaさん» わざわざありがとうございます〜！(˶◜ᵕ◝˶)もちろんです！！！！書かせてください！！！！ (2022年8月30日 0時) (
レス) id: a6a9c1ba3f (このIDを非表示/違反報告)
流(プロフ) - まっしゅさん» はじめまして〜！コメントありがとうございます₍ᐡඉ ̫ ඉᐡ₎♡阪本さん少ないですよね…もう供給無さすぎてカラッカラですよね……いつでも涸れたら遊びに来てくださいね……マユリカさんメインになると思うので……！ (2022年8月30日 0時) (レス) id: a6a9c1ba3f (このIDを非表示/違反報告)
244yuka(プロフ) - あ！えと本日のお酒のステージで踊って、です！！ (2022年8月30日 0時) (レス) id: 14faa5d2a0 (このIDを非表示/違反報告)
まっしゅ(プロフ) - 初めまして！阪本さんのお話を書いている方をなかなか見つけられなかったので、とても嬉しいです(;_;)また書いてくださると嬉しいです、！！ (2022年8月29日 23時) (レス) id: 4cd9671825 (このIDを非表示/違反報告)
流(プロフ) - たまごさん» そう！！そう、中谷さんマジでないんですよ……少ないんじゃなくて、ないんですよね……大丈夫、私がその場所を作ります……(？？？)いつでも戻ってきてください₍ᐡඉ ̫ ඉᐡ₎シチュエーションリクエストも待ってます🫶 (2022年8月29日 22時) (レス) id: a6a9c1ba3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流 | 作成日時：2022年8月27日 1時
