もう一度恋してみませんか？２【K・N】 (ページ38)

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82 翔と雅紀と松本くんページ38

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雛子に交通費精算の書類を渡して、その他の必要書類を書き終えて会社を出た。

地下鉄に向かっていると、覇気のない顔をした雅紀が歩いて来るのが見えた。

「雅紀、どうしたの？。具合でもわるいの？。」

余りにも死にそうな顔してたから思わず問いかけたら

『昨日さぁ、幼なじみに久々に呼び出されてさぁ。
そいつの愚痴をずっと聞かされながら朝まで飲んでたんだよ』

「二日酔い？」

『いや、二日酔いするほど俺は飲んでないの。そいつの愚痴を延々と聞いてたら疲れちゃっただけ』

虚ろな目でそう答えた雅紀。

「雅紀はホント人がいいんだから。明日も仕事だからって言って切り上げて帰ればよかったのに。」

雅紀の疲弊ぶりに思わずそう言ったら

『アイツは大切な幼なじみだからね。お兄ちゃん頑張ったよw』
って苦笑い。

幼馴染さんのお兄ちゃんなわけね。
それにしてもさ、人が良すぎるよ。
でも、それが雅紀の良さだから。

「はいこれ！」

二宮先生のところに持って行くパンを、カバンの中からいくつか取り出して雅紀に渡した。

『え？』

「優しいお兄ちゃんにご褒美。昨日の夜焼いたばかりのクロワッサンとロールパン。これ食べて頑張って！。」

『え？。俺に？。俺にくれるの？。
Aちゃん、俺めっちゃ嬉しい。Aちゃんが女神様にみえるよー！
ありがとうー。』

雅紀が抱きついてきた。

「ちょ、ちょっと雅紀。大袈裟すぎるよ。」

ふわっと薫る甘い香り。
雅紀、香水つけてる？
雅紀が香水なんてちょっと意外。
それに、意外と胸板が逞しくて。
年上だけど、弟みたいな感じだったから、雅紀も男なんだ！と再確認。
なんだかビックリして動きが止まってたら。

『お前！。道の真ん中で何やってんだ！』

後ろから翔の声がして引き剥がされた。

『あーあ相葉さん、なんでAちゃんに抱きつくかあなぁ。翔さんの嫉妬は怖いからね』

松本くんの声。

『潤てめえふざけんなよ。俺が誰に嫉妬するってんだ！』

全く、翔は昔からキレやすいから、勘弁して欲しい。
社会人になって少しは落ち着いたと思ってたのに。

『あ！。翔ちゃん！』

『翔ちゃんじゃねーよ！』

『え？。翔ちゃんじゃなきゃだれ？』

雅紀のキョトンとした顔に、松本くんが笑い出し、それを見た翔が

『潤！。お前あとで覚えとけよ！』

松本くんを睨みつけた。