もう一度恋してみませんか？２【K・N】 (ページ20)

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64 混乱する頭の中ページ20

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それから、スーッと顔が近づいてきて

『Aが余りにも魅力的だからついね。』

私の耳元で、影山さんが掠れ声で甘く囁いて、
その唇が微かに耳朶を啄ばんだ

え？
なに？
何言ってるの？
今、何した？

フワッと粟立つ肌
身体の奥から涌き上がる不思議な感覚
一瞬心臓が鷲掴みされる

ビックリして影山さんを見たら、瞳の奥が何か企んでいそうな顔でニヤリと笑う
そしてすぐに普通の笑顔に戻り、なにもなかったように右手が差し出され握手

握手したら笑顔が消えて、キリリとしたコンシェルジェの影山さんの顔に戻って頭を深々と下げた

.

影山さんは頭を下げながら、小さな声で

『今、あの人がエレベーターから降りてきました。こちらをチラチラ見ています。今の話はオフレコでお願いします。早く帰らないと、また捕まりますよ』

そう言ったかと思うと、私の荷物を素早く持って、私をドアの方に促した。
ドアの前で荷物を手渡され、

『お疲れ様でした』

影山さんが深々と頭を下げた。

足早に、外に出ようとしていたら、後方から

『アイツ、まだ帰ってなかったの？』
『はい、わたくしがハーブティーを差し上げておりました』
『ふーん。ハーブティーねぇ』
『ちょっとお疲れのご様子でしたから』
『アイツなんか俺の事話してた？』
『いえ、特別なにも』
『そう』

そんな2人の会話が背中越しに聞こえてきたから、
引き止められないように素早くドアから外に出た

影山さんの言葉が頭の中でグルグル回ってる
なんなの？
ねえ？
なんなのよ。

二宮和也といい、影山さんといい…

頭の中が混乱してる

.

そんな事を考えながら外に出たら、相変わらず女の人が数人立ってるのが見えた。
こちらを怪訝そうに見ている人もいて、それを横目で見ながら関わらないように足早に大通りに向かう。

あれっ？。
チラッと見た中に、見たことがある顔があったような…

でも、気のせいだよね。
夕闇に紛れてよく見えなかったし。

あの人達、あそこで待っているってどんな気持ちなんだろう。
待っていても相手に嫌がられるだけだと思うけどな。

私にはとうてい理解できないけど、気持ちを突き動かす何かあるんだよね。

二宮先生を待ってる人もいるのかなぁ。

.

今から会社に戻るのか…
なんだか精神的に疲れちゃって、このまま直帰したいよ
でも、櫻井が待ってるって言ってたし

気持ちを奮い立たせて会社に向かった

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