番外編:バレンタインデー2/2 ページ44
「ま、まって、僕、いまめちゃくちゃ情けない顔、してる、やばい、食べたくない、食べたらなくなっちゃう、どうしたら、いいかな」
真冬くんの焦ったような声を聞いて、私も焦り始める。
そ、そんな風に思えるチョコレートじゃないと思うんだけど……。お、大袈裟すぎない?
そう思っても、今はそんなことを言えるような雰囲気じゃない。
『ま、また今度、作るから……』
「……絶対だよ?」
『う、うん』
頷くと、真冬くんは恐る恐るチョコをひとつ摘まむ。
そして、小さな唇を開いて、一口サイズのチョコレートを口に含んだ。
な、なんか色っぽ……。
って!!な、なに考えてるの私!!
頭の煩悩をかきけして、彼の反応をまつ。
『ど、どう……?…………んぅっ!?』
問い掛けた、時だった。
途端に唇を塞がれて、頭は更に混乱を招く。
「ん……っと、……もっ、と……」
何度も何度も角度を変えられてキスをされて、
甘い言葉をかけられる。
何とか耐えようと足に力を込めても、このキスには震えることしかできない。
『……んんっ……ちょ、まっ……んぅ……』
今度は舌をいれてきた。
そして必然的に、彼が食べたであろうチョコレートの味が伝わってくる。
唾液と混ざって、なんとも甘ったるい。
でも、不快ではなかった。
舌の根もとを根こそぎ取られて、からめられて、水音がなり響く。その音だけで、今にも穴に潜りたくなった。
そして、圧倒的な唾液の量に思わず飲み込んでしまう。いくら思わずだからといっても、とても恥ずかしい。
「……ん、」
『はっ………………はあ、……はあ、』
やっと唇を離してくれたと思ったら、二人の口から紡がれる銀色の糸は離さないと言わんばかりに主張する。
しかし、その銀の糸はぷつんと途切れた。
名残惜しさを感じなから、肩で息をする。
こんな激しいキスをするのは、初めてだった。そして、真冬くんのキスが大胆すぎる。
「ごめ、……いけるかなって思ったけど、やっぱ無理だった……」
『え、な、なにが?』
「Aとキスすれば大丈夫かなって思って」
『な、なんの話!?』
私もキスすれば大丈夫かな!?
ど、どどどどどういうこと!?
「好きだよ、A」
額にキスをおとされ、不意に目をつむる。
そして、私の冷たい手のひらをとって、にっこりと笑った。
「チョコレート、ありがとう」
世界で一番嬉しそうな、そして、泣きそうな顔をして。
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いるよ - あああああああああああ!!!最高です!!なんか最後のところ泣いちゃいましたwヤンデレにハマってしまった…素敵な作品ありがとうございました! (2022年12月7日 0時) (レス) @page45 id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2022年3月9日 1時) (レス) @page45 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
月次 - 僕の好みどストライクのヤンデレです!とっても面白かったです。これでもっと想像の幅が広がる…!ありがとうございました! (2021年3月28日 9時) (レス) id: 34cc41e784 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬かるら(プロフ) - 心臓が泣き叫んでおります大歓喜 (2020年8月23日 0時) (レス) id: 018ad8bd5d (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» 本当にいつもありがとうございます……!!マーライオンwwwそのくらい泣いてくれたんですね!嬉しいです!私も目からマーライオンです!はい!楽しみに待っていってください! (2020年2月25日 7時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶯餡 | 作成日時:2020年1月6日 22時