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「……えへへ、Aの手はあったかいねぇ」

『い、いい加減はなせよ……』

「あ〜、離したらまた手が冷たくなっちゃう〜」

『こいつ……』


ぶん殴ってやりたくなる気持ちをグッとこらえる。

洗濯が終わってから、彼は私の片方の手のひらを頑なに離そうとしない。しかも、指を絡ませて恋人繋ぎをして来たのだ。


いくら家の近くだからとはいえ、誰かに見られているんじゃないかと思うと羞恥心きわまりない。

でも、今まで曇っていた空も雲が薄れ、明るくなっていた。
彼の表情は心からの笑顔。
まあ、いいか。




なんて溜め息をつきながら、この状況に若干受け入れつつもあった今日この頃。







「……ふぅ、外は寒かったね。待っててね、今俺の部屋にあるお布団に……」

『いや、別に布団なんていらな……』



彼が襖をあける。
私と神は二人とも固まった。


_____そこには、ちゃぶ台に茶菓子をおいて、優雅にお茶をすする美少年……。
いや、背中に羽が生えて、頭には円いわっかがついている少年……。これはまるで、天使だ。




真っ白な肌と髪。頬についている黒い模様、そして開く赤い瞳。









「……あ!お邪魔してまあーす!」









パサッ。
襖が閉まる。

そして彼は、私に向かってにっこりと笑った。




「あぁ、もしかしたら別の部屋に布団はしまってあるのかも。探さないとね」

『お、おい……』



にこにこと神は笑ってるが……。

今の天使らしき人物はなんだよ。
そう聞こうとしたときだった。



「ちょっとおおおおおお!!」

『うぎゃっ!?』



先程見えた天使が襖を突き破って出てきた。
それには私も驚いて、女の子らしくない声を発してしまった。

とうっ!とまるで何処かのおとぎ話の勇者のように着地する天使。全然かっこよくない。てか羽じゃま。

むぎゅむぎゅと私の頬を押し潰してくる羽にムカムカしてきた。




「……あっ、すみませんすみません!すぐ羽どけますね!」

『…………は、はぁ』



彼が私たちの方に向き合ったため、頬を押し潰していた羽はなくなった。
解放感を確かめるため自分の頬をむちむちと触る。


「どうも初めまして!最高神の右腕、真冬でございます!そら…いてっ!!」

「あははー、真冬とは仲いいんだ〜、Aも仲良くしてね」



彼はにこにこと笑いながら真冬さんのこめかみをグリグリと押し付けている。

……あれ、こいつってこんなにこわかったっけ。
武者震いが止まらなかった。武者震いだからね。

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設定タグ:そらる , 歌い手   
作品ジャンル:ラブコメ
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年9月26日 13時) (レス) @page42 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
しろむ(プロフ) - 2ヶ月ほど占ツクを離れていたら、完結していてビックリです!うぐいすあんさんの作品大好きです。今回も素晴らしい小説ありがとうございます (2020年1月31日 21時) (レス) id: 3eaa2e0c73 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - すばるさん» 私もすばるさん好きです〜!そらるさんの可愛さを最大限引き出せましたかね!?こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» いつもありがとうございます!優勝できましたイエーイ()今回はほんわか系を書いていたのでどうしても過去編がシリアスになってしまいました……。はい!楽しみにしていてくださいね!ご満足できるような作品を作れるよう頑張ります! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - らfkー(らふきー)さん» ありがとうございまrrrrrrrrrrrrrrrrrrす!過去編はかなぁり凝っているので、泣いていただくほどのお話ができてとても光栄です! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鶯餡 | 作成日時:2019年11月10日 22時

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