君の心が読めない【まふまふ】

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「え？断って……ないの？」

『うん。承諾もしてないけど』

「え、まさか騙された？……え？」

『もしくは相川の勘違いとか』




なんか話がずれていったなあ。
でも、相川のせいで棗が落ち込んでいたってことか。
ようやくわかった。棗のことが。







『……教えてくれてありがとう』




にっこり、と棗に微笑む。
相談してくれたことが嬉しい。
頼ってくれたことが嬉しい。
いい友達を持った。優しい友達をもった。
自分の恋が危機に晒されていると言うのに、私に話してくれた。もしかしたら相川の言葉で棗は怒ってたかもしれない。私を裏切ったかもしれない。でも、それでもきちんと教えてくれた。

それが何より、心のそこから嬉しい。
ゆっくりと棗の手を離して、屋上のドアノブに手を当てる。
風がそよそよと私の髪を揺るがせてくれる。






「A？……相川とは……！」

『ごめん。それは無理かな』




関わるな、なんて御免だ。
あいつは変態だしデリカシーないし、いっつも真顔で何考えてるかわかんない。みんな嫌いって言ってたし。
でも、本当は優しい子なんだろう。先程だってなにも言わず微笑んでくれた。あの相川だ。きっと棗が何を話すのかわかっていたのかも。




だけど、私の最高の友達を傷つけたことは許さない。

ゆっくり、と棗の方へと顔をそらす。
棗は目を大きく見開きながら呆けた顔をしていた。私は自信満々の笑みを浮かべて、彼女を見た。



　









『私の大事な友達を傷つけたこと、怒りにいくから』



盛大に叱って反省させて、その後。
その後で______









私は彼に、たった今気づいた想いを伝えるから。

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