41話 ページ41
「…は、バカじゃねぇの。大人をからかうんじゃねぇよ」
キヨ兄ちゃんはいつも通りの余裕の笑みを浮かべてるけど、目は困惑してる。
ちょっとは意識した?
「からかってない。からかってるのはキヨ兄ちゃんの方でしょ?私の告白、さらーっと受け流してくれちゃって。凄く悲しいんだけど?」
「告白…って、さっきの?え、あれ本気…?」
キヨ兄ちゃんは遂に余裕の表情を崩し、なにか考えてる。
考える暇なんて与えない。
私の事だけ考えて。
「本気だって証拠みせようか?」
上着を脱ぎ、シャツのボタンを外す。
シャツは着たままで中のタンクトップを捲りあげキヨ兄ちゃんの手を中に入れる。
「えへ。キヨ兄ちゃんに触られちゃった」
「っば、やめ」
勢いよく手をひっこめられ、キヨ兄ちゃんが私と距離をとる。
ズルズルと壁沿いに体重をかけ地面へと座り込んだキヨ兄ちゃん。
キヨ兄ちゃんの目の前に一緒に座る。
「…お前の好きってやつは、恋じゃない。
憧れだ。昔遊んでたから思い出が印象的で、俺が忘れられないだけだ」
恋じゃない?
違うよキヨ兄ちゃん。
キヨ兄ちゃんは、私の初恋なんだよ。
「キヨ兄ちゃん。お泊まりした日覚えてる?ほら、お風呂上がりにアイス買いに行ったよね」
キヨ兄ちゃんから返事はない。私は構わず口を開く。
「あの時私、好きな人いるっていったよね。覚えてる?その人ね。つい数ヶ月前に出会ったの」
今でも鮮明に思い出す。
あの赤髪を。
「その人ね。小学生の時にずっと遊んでくれてた近所の男の子なんだけど、ある日を境に遊んでくれなくなったの。お母さんに聞いたら受験勉強だからって。悲しかったよ」
ぎゅっと体育座りした体を縮こませる。
相変わらずキヨ兄ちゃんから返事はない。
もう私の話は独り言だ。
独り言ならなんでも言える。
「それからその子は県外の高校に行っちゃって全く会えなかったんだけどある日ね、その子が私の家の前に立ってたの。見た目は凄くヤンキーっぽくて怖くて怖くて殺される!って思ったんだけど」
クスクスと笑うと、ぴくっとキヨ兄ちゃんの腕が動く。
ちゃんと聞いててね。
「笑った顔とか、ゲーム負けず嫌いな所とか意地悪な所とか優しい所とか、全然変わってなかった。私の気持ちも変わってなかった」
そっとキヨ兄ちゃんの手をとり、自分の頬に当てる。
「私、キヨ兄ちゃんが大好きなんだって」
頬にふれたキヨ兄ちゃんの指がスリスリと撫でてくれる。
「…俺には好きな子がいる」
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*:まりな:*(プロフ) - 夢吏ちゃんさん» レスありがとうございます!通知溜まりすぎで…完結した時すぐに見れなくてごめんなさい!お気に入り作者にも登録しました!…結構前だけど…。これからも頑張ってください!1ファンとして応援してます! (2020年5月26日 16時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - *:まりな:*さん» ありがとうございます…!!えへへそんなに褒めて貰えて嬉しいです!ありがとうございます!次作でもお会いできたら嬉しいです! (2020年5月25日 17時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
*:まりな:*(プロフ) - わああああ!完結おめでとうございます!はぁもう…泣きました。(これほんと)タメ口やばいと思いましたか?私は思いました。知らねぇよ。いやー、なんかもう…満足です!作者さん!愛してる!ぶちゅ (2020年5月21日 23時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - 甘党。さん» 初めましてコメントありがとうございます!ずっと見て頂いてたんですね…!甘党。様が見て下さっていた1hitが凄く励まされました…!次の小説も近々公開しますので…!自作でも応援のほどよろしくお願い致します! (2020年1月12日 4時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
甘党。(プロフ) - 完結おめでとうございます…!今までコメントはしなかったんですけどずっと見てました!次の小説も全裸待機させていただきますね^ ^ (2020年1月5日 10時) (レス) id: 93d0b6d41e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢吏ちゃん | 作成日時:2019年5月6日 10時