38話 ページ38
「イルカショー始まるらしいけどいく?」
アナウンスを聞いたフジさんが、タコに夢中になっている私達3人に問いかける。
真っ先に食いついたのは遥さん。
「いく!!」
「Aちゃんは?いく…?」
フジさんはくるりと遥さんを背にすると、別行動する?と、アイコンタクトをしてきた。
あ…そっかここで別行動すればいいのか。
違うコーナーに行きたい、と口を開いた時だった。
「行くに決まってんだろ。Aは昔からイルカショー好きだったんだぜ」
ぐいぐいと腕を引っ張られ、イルカショーの会場へと足を進めるキヨ兄ちゃん。
遥さんが後ろで置いてかないでよ!!っと怒っている。
キヨ兄ちゃん、私が好きだった事とか全部覚えてるんだな。
…こういうことされちゃうとさ。女の子だから。私。こんなの、もっと好きになっちゃうよ。
◇
「やっぱイルカショーは真正面だよな!!」
「私真正面初めてだよ〜!!イルカちゃんまだかなぁ!?」
遥さんキヨ兄ちゃんを左側に、私とフジさんはその隣に座った。
「Aちゃんこれひざ掛けに使って。ここ結構冷えるでしょ」
「え、あっ…すみません」
フジさんは上着を私の膝にかけると、ちょっとトイレ行ってくるねと席を立った。
それを見ていた遥さんは、やっさしー!誰かさんと大違い。とキヨ兄ちゃんを睨みつけている。
「ね!ね!Aちゃん!フジ君の事ぶっちゃけどう思ってるの!?」
と、鼻息荒くキヨ兄ちゃんを跨いで私に詰め寄る遥さん。
「え、お、大人だなぁって」
「そうじゃなくて!すきだなぁとかって思わないの!?」
あはは、と作り笑いをして適当に誤魔化す。
本当は貴方の彼氏さんが好きですって言ったら遥さんどんな顔するかな。
なんて、性格悪すぎない?
「…好きな人の妹、卒業したいんだけどな」
ぼそっとキヨ兄ちゃんだけに聞こえるように言ってみる。
横目で確認すると、全く聞こえていないようだ。
私…ほんとにキヨ兄ちゃんの事諦められるのかな。
こんなに好きなのに。今日で諦めないと行けないなんて。
でも…キヨ兄ちゃんはずっと好きだった人と付き合えたんだよね。
ぐっと涙を堪える。
キヨ兄ちゃん、私、キヨ兄ちゃんの事大好きだよ。
ぽすっと体をキヨ兄ちゃんに預ける。
キヨ兄ちゃんは遥さんとの話を止めて、優しい笑顔と腕で私を支える。
「どうした甘えんぼ。フジ居なくて寂しい?」
「んーん、なんか。」
疲れちゃったな。って。
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*:まりな:*(プロフ) - 夢吏ちゃんさん» レスありがとうございます!通知溜まりすぎで…完結した時すぐに見れなくてごめんなさい!お気に入り作者にも登録しました!…結構前だけど…。これからも頑張ってください!1ファンとして応援してます! (2020年5月26日 16時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - *:まりな:*さん» ありがとうございます…!!えへへそんなに褒めて貰えて嬉しいです!ありがとうございます!次作でもお会いできたら嬉しいです! (2020年5月25日 17時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
*:まりな:*(プロフ) - わああああ!完結おめでとうございます!はぁもう…泣きました。(これほんと)タメ口やばいと思いましたか?私は思いました。知らねぇよ。いやー、なんかもう…満足です!作者さん!愛してる!ぶちゅ (2020年5月21日 23時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - 甘党。さん» 初めましてコメントありがとうございます!ずっと見て頂いてたんですね…!甘党。様が見て下さっていた1hitが凄く励まされました…!次の小説も近々公開しますので…!自作でも応援のほどよろしくお願い致します! (2020年1月12日 4時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
甘党。(プロフ) - 完結おめでとうございます…!今までコメントはしなかったんですけどずっと見てました!次の小説も全裸待機させていただきますね^ ^ (2020年1月5日 10時) (レス) id: 93d0b6d41e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢吏ちゃん | 作成日時:2019年5月6日 10時