【完結】あのね、ずっと好きでした。【KY】

35話 ページ35

Aキヨ兄ちゃん彼女出来たって。きっと遥さんですよね。フジさんには好きでいてやってって言われたけど、キヨ兄ちゃんを好きで居られる程、大人になれません。ごめんなさい

送信ボタンを押すと、全身の力が抜けたようにスマホから手を離す。
ふいっと顔を枕に埋めると、カーテンの隙間から差し込んだ太陽が私の瞼を焼く。
ベッドに寝転んだままカーテンに手をかけると力いっぱい引っ張る。
今何時だろう。
こんな静かな休日は久しぶりだ。
いつもならキヨ兄ちゃんが、ゲームしようぜって新作のゲームを持ってきてくれたり、(新作なのに妙にプレイが上手くて私はいつも負けてたけど)遊びに行こうぜっていってくれたのに。
もうキヨ兄ちゃんは居ない。
ずずっと鼻を少しすすると、ティッシュを数枚掴み鼻をかむ。
こんなに泣いたら全身の水分が無くなってシワシワになっちゃいそうだな。
シワシワになった自分を想像して、少し笑った。
暗かったスマホの画面が明るくなり、バイブ音と共に着信音がなる。
電話相手はフジさん？

｢はいもしもし｣
｢あっ！Aちゃん！？あのLINEどういう事！？キヨが遥と付き合ってるの！？｣

一気に早口でまくし立てられ、フジさんに落ち着いてくださいと宥める。
フジさんはご…ごめんねとゆっくり深呼吸するともう一度ごめんね。取り乱しちゃって。と謝ってくれた。

｢キヨが遥と付き合ってるって、どういう事かな｣
｢昨日、いつも通りキヨ兄ちゃんと両親で夕食を食べてたんです。そしたらキヨ兄ちゃんが彼女が出来たって。名前までは聞いてないですけど、きっと遥さんだろうなって｣

フジさんは私が話終えるまで黙って聞いてくれて、話終えるとそっかぁ…と言った。

｢…かしいな。あいつの好きな子は…ちゃんだろ？なにしてんだよ｣
｢え？なんですか？｣
｢あ、いや。独り言。ごめんね｣

フジさんは少し考え込むと、デートしよっか。と言った。
え？？デート？

｢まずはAちゃんの元気を取り戻さないと！この後の事も何も決められないよ。
ってことで明日水族館いこうよ。ペンギンの赤ちゃん生まれたらしいんだよね。見に行きたかったんだけど1人で行きにくくて｣
｢あ〜確かに…水族館って1人で行きにくいですよね。明日の何時待ち合わせします？｣

というと電話越しでも分かるぐらいフジさんは喜んでくれた。
初めてだな。キヨ兄ちゃん以外の男の人と遊ぶのって。
少し、胸がとくとくしてる。
明日楽しみだな。

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