【オリオンの刻印】日本の女神？元通り魔ですが (ページ34)

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第30人目見切り発進ページ34

「一星には弟がいるんですよ。一星光という病弱の弟が」
2人は静かに驚いていた。
「どうやってそれを……」
「盗聴し(聞いちゃい)ました」
黙り込まれてしまった。
「なぜお前はそこまで出来るんだ？普通の中2女子はそんなすぐに盗聴なんて出来ないだろう」
ホント鋭いな＿＿そりゃ狙われるわ。
私だったら真っ先に潰す。
「こっちも一星見張っときます。すいません、私行きます」
失言だった。
これはすぐに立ち去った方がいい。
「西蔭、付いて行け」
「はい」

トコトコ歩けばトコトコ連なる。
スタスタ歩けばスタスタ連なる＿＿
振り返りもせずに訊いてみた。
「なんで付いてきたの？監視？」
「そういうことだ」
監視者は隣に横付けして歩いた。
「わざわざ私のことなんて視なくていいのに」
「頼まれたことだからな」
しばらく無言で歩いたけど、なんかゆず痒くて私が沈黙を破ってしまった。
「なんでサッカー始めたの？」
こんなありきたりなことしか思いつかなかった自分がちょっと恥ずかしかったけど。
「……あの方に一緒ついていくと決心したからだ」
言わなくても分かるよね＿＿野坂悠馬。
戦術の皇帝なんてテレビに散々ちやほやされてたし。
「お前は？」
「すごい単純。サッカーが好きだから」
「らしいな」
「褒めてるってことでいい？」
「サッカーバカともいうが」
「貶してるってことでいい？
もういいよこの話！次の試合も勝つよ！」
「キーパーには円堂さんがいるからな。俺はしばらくベンチだ」
「まあ……ね。でもいつか出られるよ、試合」
「だといいがな。こういうことを言うのは柄じゃないが……応援してる」
「何急に～」

はいはい、回想これにて終わり。
この時は知らなかった。
運命は日の丸めがけハンマーを振り落とした。
理想は真っ二つになった。

「円堂さんが警察に……！？」

西蔭、出番だよ