【オリオンの刻印】日本の女神？元通り魔ですが (ページ24)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,614 hit

第20人目凶弾が横切ったページ24

……何考えてんだ、私
試合に集中しなさいよ全く
私はボールを狙って走っていればいいの。
「金山！」よっ、ボール獲得っと
「次はお前だ！」
これって照射の陣形＿＿_やっば
「ヒロトっ！」「おらよっ」
パスを受けた彼はニヤニヤした顔で走る。
「うぉらっ！
ザ・エクスプロージョン！！」
超常弾はゴールネットの向こう側の狙って放たれたものじゃない。
あいつの照準は一星！！
「グハァァァッッッ！！」
「いちほしぃぃぃっっっ！！！」

最早芸術と言えるほど華麗なクリーンヒット。
腹にシュートが炸裂した一星が宙を舞って吹っ飛ぶ。
身体が受け止めきれなかった衝撃波は内臓を揺らし、絶叫と共に胃液唾液が零れ落ちて緑の下に落ちる。
生身も余った衝撃もフィールドに急激落下する。
アンビバレント、
激しい歓喜と激しい嫌悪が私の体内を廻る。
私に出来るのは立ち尽くすだけ。

明日人が一星に駆け寄ってくる間、灰崎とヒロトは嘲笑を浮かべていた。
「一星！大丈夫か！？」
「……はい。大丈夫です」
「けど何で……⁉」
「さあ、僕のプレーが気にいらなかったんでしょうか……それなりには頑張ったつもりなんですが……ハア」
被害者ぶった、仮面を被った言動に苛立ちを覚えた。何それ、気持ち悪い。
そんなのに騙されて憤怒する明日人も大概。
「鬼道さん！灰崎達に一星を狙うように指示しましたよね！
どうしてこんなことさせるんですか！？
こんなの……サッカーじゃないです！」

“こんなのサッカーじゃないです”

沈黙が流れた。
「鬼道さん！答えてください！」
「……仕方の無いことなんだ。分かってくれ。」
排除が仕方の無いこと、そう言い張る姿は愚かに見えた。
「お前、何にも分かってないんだな」
吐き捨てる灰崎のその目は軽蔑に似たものだった。

そんなことをしている間、不動さんがこぼれ球を拾っていた。
「はいはい……あんたら仕方ないねぇ。じゃあここらで一つ決めてやんよ！
マキシマムサーカス！」
「太陽のギロチン！」
ジャッキン！！
ゴールとはならず。
「チッ……結局粛清だけかよ」
あまりにも笑えない捨てゼリフだった。

「ルシ、行け」
ルシと呼ばれた少年は静かに頷く。
「ルシ、分析……リストアップ……選択……
決定。ターゲット：22番」
無機質に、無感動に計算した。