Half step【3】 (ページ29)

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「Aちゃん、時間大丈夫？」

正門くんに聞かれ、時計を確認するといつも家を出る時間。
1本あとでも間に合うけど、それもあと5分しかない。

「え？…あー！大丈夫やない、もう行かな」

「じゃあ、これ畳んどくから。」

腕の中から、部屋着を抜き取ると、代わりにテーブルに置きっぱなしだったスマホを手渡してくる。

「うん！ごめん、任せた！」

「鍵は？」

「あ、、そっか！これ、」

玄関まで送りに来てくれた彼に、玄関でヒールを履いて振り向くと、シューズボックス上の鍵を渡す。

「俺もう帰るから。」

「大吾。…ねぇ、」

小声で話すと言い終わる前に、頷く彼

「大丈夫。また連絡するから。」

正門くんは、半袖のインナーで寝てたらしく、首元が深いVネックで、二の腕から下は素肌。

さっきまでの布団の中で寝てた彼を思い出して、ドキマギしてしまう。

「大吾が見てるとこ恥ずかしいけど。
行ってらっしゃい。」

「はぁ？恋する正門なんて見たないんやけど。」

「…ありがとう。行ってきます。」

なにこれ、同棲してるカップルやん…

正門くんにも、この気まずさ体験してほしいって思ったけど、職業柄、平日の朝早くから出勤することはなさそうやし、無理か…

「それと、
あれはお姉さん、朝から刺激強すぎ。」

「…なにが？」

「Aちゃん、着替えは下からとは意外。」

「着替え…？」

うそ、まさか起きてたの！？！！

私は驚いて目を見開く。
そうしたら、正門くんの肩越しにバッチリ大吾の視線とぶつかってしまって、必要以上に慌てて部屋を出た。