Half step【3】 (ページ24)

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「え？」

私は今、何を言おうとした？

絶対出しちゃダメだ名前だよね

特に今は！！

「だ、ダディ？…あ、お父さんがね！」

「ほら、泊まるのお父さんか斗亜くらいだから男だったらこれでいいだろって。」

「でもみんな面白がって、うち来る友だちみんなこれに寝たがるよ？」

後半2行はまくし立てるように、言うと彼の顔がぱっと微笑む。

「正門くん？」

「Aちゃんもマミー、ダディー呼びやったん？」

「ま、みー？？
Aちゃん、も？？」

と、ダディってビッグダディしか聞いたことなかったんやけど、まさか…！

「俺んとこもそやってん。オカンがマミー、ダディーっ呼びなさいって、中２までそう呼んでたわ。」

「中２、まで…マミー、…」

しかも、マミーって…
正門くんってもしかして、ご両親海外の方？？
…いや、バリバリ正門良規やし
ベストオブ日本人の名前やん

って思ってたら、さっきまでキラキラ光ってた彼の目は少し寂しそうな顔になる。

「…いや？マザコンって思った？」

「え？それはマザコンじゃないでしょ？」

いい加減、起き上がろうと思って、床の上をズルズル滑る寝袋と格闘してたら、彼が引きあげてくれて、座ることに成功。

「正門くんって、結構可愛いとこあるんだね。」

「なにそれ、嬉しくない。」

「ううん。…素直ないい子やなぁって。」

同じ高さになった目線を合わせながら言うと、少し嫌そうな顔。

正門くんって、不機嫌な時こんな顔するんだ。

へぇー、珍しいもの見れた。

「お母さん、嬉しいやろなぁ。
こんないい子に育って。」

「なんなん、Aちゃんやってダディー呼びやん。」

そういうとこやって。
こうやって私の嘘を真に受けちゃうとことか、可愛くてしょうがない。