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「正門くんの、本気がわからない。」


ぼそぼそと口を開くと、正門くんは少し口元を緩める。


「…それは、聞き捨てならんけど、」


「だって、好きって言わない女に、結婚しよ、って………。
結婚、ていうのは、好き同士の2人がするものやん。」


書類という形だけやない。
どんなことがあっても愛し続けます、とみんなの前で誓うもの…


「…なんかおかしくないですか?
『結婚しよ』って言ったのは、Aさんやのに、あかんって、」


…確かに。
正門くんは、おかしくはないかも…?


「俺のこと、好きになってくれた?」


こんなセリフ、自信家な俺様しか言わないのかと思ってた。
けれど、実際言われてみると、それほど腹が立たなくて驚く。


「好きか嫌いか、で言ったら…好き。」


「…いい人止まり?」


「そんなんじゃ!ない…」


それは違う。

正門くんはもっと…


「礼儀正しいところは、えらいなぁと思う。
たまに見せる、年下みたいなところは、…あざとい。」


あざとい、って言うのは、こっちが無条件に世話焼いてあげたくなる感じやと思う。

たとえば、お酒が弱いとか
寝る前に甘えられた時、よく耐えれたなと自分でも思う。


「ギター弾いてる時は、男の人の顔しててかっこいい。…あと、スマートなところは、見惚れるよ。いつもサラッと散歩とか誘われるから、…めちゃくちゃドキドキして、
ってあーー!これは聞かんかったことにして…?」


チラッとだけ彼の方に顔を向けると、バッチリ目が合ってしまって恥ずかしい。


「じゃあ、なにが不満?」


そんな優しい顔でこっちを見ないで欲しい。
私は、抜けられなくなる…。


「……かっこいいし、人気者やし…モテそうやから
私なんか、いつか飽きて、いなくなっちゃいそうで…いや。」


特にこれと言った魅力はないと自負してる。
だから、こんなにもモテそうな彼にアピールされて、ありがたいのに、ほんとは嬉しいのに、
…不安になる。

彼なしで生きられなくなったらどうしようって。


恥ずかしくて、どうにかなる。
だって、こんな経験、人生で初めて
…何が正解かもわからない


「ずるいわぁ、そんなん思ってたん、

…こっち見んといて、絶対やばい顔してるから。」

そう言われると見たくなる。
彼の新しい顔見た気がした。

こんな顔するんだって、見惚れていると、


「俺って、結構一途やで?」



落とされたはずなのに、私の心はふわふわと浮ついていた。

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みさき(プロフ) - こちらも一気に読みました!楽しませてもらってます。 (2021年3月18日 16時) (レス) id: 58a6144e55 (このIDを非表示/違反報告)
ぱ た(プロフ) - 続き気になります ‥ ! (2021年2月23日 23時) (レス) id: 99d7cdb867 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう | 作成日時:2021年1月15日 17時

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