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お菓子が二つ ページ11

つくづく思うが、私も妻も狭い世界の中で生きている様に思う。
毎日、一回は誰かが怪我で運ばれてくる。勿論私の力はヒトの治療など専門外な訳で、こればかりは医師であるというのに人も治せない自分のギフトに困って物も言えない。

今日も神樹には魔法使いたちが襲い来る。いつまで救いのない不毛な戦いをしているのか、などと思う。
それでもやはり鶏が先か、卵が先かという問題であって、正直私達にはどちらが悪いという判断はできない。
人が来ると、その分焼いていたクッキーはちょっとずつ、たまにごっそりと減る。
どんな戦いでも、ヒトが嬉しそうに何かを食べるという行為を眺めるのは心を癒してくれるらしい。
ひび割れそうになりながらも、私の心はただそれだけで満たされてきて、少年隊のこどもたちは…何人か例外はいるけれど基本的に美味しく食べてくれているらしい。
Kanamothにいるジュンヤくんやノアくんにもお菓子をおすそ分けしているのだけど、ジュンヤくんは他の子に渡しているという。

ノアくんから送られてきた手紙を開いて、私は改めて残された刻の短さを噛み締めた。
おそらく。
…いや、決定事項なのかもしれない。
もうすぐ、魔法使いと無能力者は遅かれ早かれ戦いを始める。
誰が仕組んだと言われれば、それは神が仕組んだこと。
私達には防ぎようのない、辛い戦いなのだろう。

そうしたら、私は果たしてハムレットを守り抜けるだろうか。
みんなのために笑顔で、お菓子を振る舞えるだろうか。
私には戦う力などない。だからこそ、私は私にできることで皆の心を癒してあげられたらと何回も願いつづけた。

魔法使いだって、無論無能力者側(わたしたち)も。誰かのために生きている。自分の生活のために生きている。
魔法使いだって、仕事が終われば家に帰るだろう。暖かな魔導灯に照らされながら、家族の顔を思い出して微笑むのだろう。
何気ない生活の光景を思い返すたびに、果たして今この戦いは本当に正しいのかが霞んでしまう。
差別というものは、あるいはその根幹にある感情には、大抵根拠など存在しない。
得体がしれない。…無理解が差別を呼び、差別が憎悪を呼び起こす。

ここにいて、魔法使いと戦う彼らはおそらく、その無理解から逃げてきた子達ばかりなのだ。

図書館にあった童話の本のページをめくりながら、この世界もそうなればいいのにと願った。

その願いを、一体誰が叶えるというのだろう。

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桜吹雪@自作小説低更新(プロフ) - 桜猫さん» 更新しました!お話を繋げさせてもらいました!口調がおかしければ変えてくれて平気です! (2020年5月8日 17時) (レス) id: aafc5aee29 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪@自作小説低更新(プロフ) - 充琉君と湊牙君で更新します! (2020年5月8日 15時) (レス) id: aafc5aee29 (このIDを非表示/違反報告)
北斗(プロフ) - 更新しました (2019年11月3日 10時) (レス) id: aafc5aee29 (このIDを非表示/違反報告)
北斗(プロフ) - 願君で更新します! (2019年11月3日 9時) (レス) id: aafc5aee29 (このIDを非表示/違反報告)
ダークライト(プロフ) - 更新しました! (2019年10月6日 19時) (レス) id: 05aa222805 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜の葉 x他8人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年8月2日 22時

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