時をとめて【ヒロアカ】 (ページ34)

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３４．ページ34

それから体育祭の準備期間に入り、それぞれがトレーニングを始めた。

Aも自宅のトレーニングルームで訓練をしていた。

『ふぅ……』

指を鳴らし時を止め、外界との接触を断つ。

『３…２…１……』

時間制限が来て個性が解かれる。

『１０秒半……少しは伸びたか』

Aは始め、個性が発動した頃は５秒程度しか時間を止めることができなかった。

１０秒まで伸ばすことができたのは、自分自身の成長もあるだろうが、日々積み重ねてきたトレーニングのお陰だろう。

両親の個性は、母親が時間を早める個性、父親が時間を遅らせる個性の持ち主だった。

その二人の個性が合わさりできたのが、時間を”停止させる”Aの個性だった。

厳格な母親と、峻厳な父親。ヒーローとしても人間としても端から見れば立派なのだろう。

Aも別に両親を嫌ってはいない。だが、考えが古くさく、言うことを聞く気になれないのだ。

だからこうして、いつでも独り立ちができるよう幼少から己を鍛えてきた。

ましては次の体育祭ではその成果を試せる絶好のチャンス。尚更気が抜けない。

『戦って、勝って、そしてヒーローへの道をこの手で切り開くっ！』

Aはそう言ってトレーニングルームのサンドバッグを思い切り殴った。