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酩酊と体温:I ページ10

"最近のバイト後の電話"って……なに?

そんなの俺にはなんの心当たりもない。

Aを見下ろしたけど、Aはやっぱり笑ってるだけ。

悲しんでるより100倍マシだけど、でも今は、その笑顔が憎い。

Aについて、まだ知らないことが多すぎる。

「ひかるぅ、朝起きたらシャケたべたいねぇ」

岩「シャケ?好きなの?」

「シャケ?なんで?普通だよ」

岩「なんで?じゃねーよww」

こんな風に酔っ払ってトンチンカンなことを言うことも。

「顔があちー、なつだからあついねぇ」

岩「酔ってるから熱いの」

酔ったら、真っ赤な頰で、半開きの口で、水分量の多い瞳で、とろけるように笑うことも。

「ひかるはやく帰ろうよ」

岩「えっ、あ……おい!そっちじゃないぞ!」

なんにも考えずに、俺の手を簡単に握ってしまうことも。

俺は全部、初めて知った。

A、ダメだよ。

こんなことろ、俺以外に見せちゃ。
こんなこと、俺以外にしちゃ。

なんて思う資格、まだ俺は持ってないんだけど。

繋がれた手が熱い。

それがアルコールのせいなのか、夏のせいなのか。それとも別の理由があるのか。

俺にはわからない。
だって、Aの手の温度なんて、これが初めてなんだから。

成り行きで、あまりにも雑に繋がれた俺たちの手。
Aはどうせ酔っ払ってるからこんなことをサラリとやってきたのだろうし、木村の言うおり明日になったら何もかも忘れているのかもしれない。

それでも、俺は、嬉しくなってしまうんだよ。

横に並んで、手を繋いで、はしゃぐAのちんぷんかんぷんな言葉に適当にツッコミを入れながら、ゆっくりと歩く。

Aはふらふらとあちこちに行こうとするから、その度に俺が手を引いて、隣に戻す。その繰り返し。

岩「ねぇA。なんでこんなに酔っ払うまで飲んじゃったの?俺、Aの酔ってるところ初めて見た」

「わからない……でも酒はちからをくれるんだ……」

岩「そんなアル中みたいなこと言わないでww」

「ほんとだよ。ちからを手に入れたから、手をつなげたんだよー」

岩「え、」

Aが、俺たちの間の繋がれた手を持ち上げる。

場違いなくらい、得意げに笑ってみせる。

ねえ。

それって、俺と手を繋ぎたかったってこと?

A、俺、期待しちゃうけどいいの?

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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます!なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい!この作品大好きです!!これからも頑張って下さい!楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おかゆ | 作成日時:2019年2月1日 14時

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