相克:W ページ44
忘れもしない、あの日。
Aと受けるはずだった授業をサボって、今日引っ掛けた女と並んで帰ろうとしていた時だった。
"なべしょ"って、言いかけて途中で途切れた、Aの声がした。
気のせいか、でもハッとして振り返ったら、紛れもなくAがいた。
Aだ。
やばい。なんか、胸が。
いつぶりだ？ お前の顔を見るの。
なのになんでそんな、切羽詰まったみたいな、焦った顔をしてんの？
「知り合い？」
横の女の声で、現実に引き戻される。
でもAから目が離せない。
なに、その顔。
お前は照と、夏祭りを2人で過ごして、2人で夜道で抱き合って、やがて照と結ばれるんだろう？
なのになんで、俺にすがるみたいな、そんな目で俺を見んの？
俺のことをなんとも思ってないなら、そんな目で、見んな。
「…………いや、知らない人」
疑問とか混乱とか、色んな感情がごちゃ混ぜになって、しまいには怒りまで湧いてきて。
気づいたらそう口からこぼれ落ちていた。
口にした瞬間、まさに一瞬後に、ものすごい後悔で絶望した。
Aが、愕然としたような、ショックを受けた顔になったからだ。傷つけた。傷つけた、俺が。
混乱？ 怒り？ 馬鹿か、俺は。
どんな感情があったって、Aを傷つける理由になんかならない。
大事で、愛しくて、大切なAを。
あんなに大事に想っていたのに。
傷つけたのは俺だ。
横の女が何か言って、俺の腕を引っぱる。耳にはなにも届かった。
腕を引かれるがまま、逆らう力もなく、Aに背を向ける。
俺がさせてしまった悲しい顔が視界から消える。
けど、絶望感は消えない。
その日を境に、Aがバイト後にメッセージを送ってくることはなくなった。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
