甘い:I ページ29
駅前を軽くブラブラして、Aの買い物に付き合って、そろそろお昼時も近くなってきたので、2人で適当な店に入った。
変に緊張して甘酸っぱかったのは最初のうちだけで、Aも俺も自然に楽しめていたと思う。
2人でメニューを注文してから、俺たちはやっと、この"デート"の発端に触れた。
「ねぇ、本当に申し訳ないのですが……こないだの記憶を全部失っています……」
両手を膝の上に添えて、縮こまりながらAが謝る。
Aは本当に申し訳なさそうにしているけど、そんなことはわかりきってるので、俺はたいして気にもせず笑い飛ばした。
岩「いいよ、別に。そんな気はしてた」
「あたし、本当汚かったよね、めんどくさかったよね？！ 面倒見させてほんっとうにごめん！」
岩「うーん、まあこれぞ酔っ払いって感じで、めんどくさかったかな？ww」
「うわッッマジで最悪だ……迷惑かけてごめんなさいー！」
面倒だったなんてもちろん冗談だし、好きな女の子を迎えに行くくらい喜んでするのに。Aは本当に反省しているみたいで、それがちょっとだけ面白い。
「いくら酔ってたからって、まさか照に面倒見させるなんて思ってなかったよ……って、こんなの言い訳だね……ごめんなさい」
なんてことない風に発せられたAの言葉に、少し引っかかる。
"まさか照に"って。それはどういうこと？
俺じゃ頼れないって、こと？
気になったら聞かずにはいられない。スルーするにはAのことが特別すぎるからだ。
岩「なんで？ 俺は頼ってくれて嬉しかったよ」
「そんな…だって酔ったら面倒くさいの自分でわかってるし、迷惑かけたくないじゃん」
岩「俺は迷惑だなんて思わなかったよ」
「………照は優しいね。ありがとう」
Aはそんな勝手な解釈をして、俺に優しく微笑んだ。
違う。違うんだよA。
"俺が優しいから頼られて嬉しい"んじゃない。
"お前を独り占めできるから嬉しい"んだ。
"Aの1番でいたいから、頼ってほしい"んだ。
言ってしまいたい。ありのままを。
でもこんな告白まがいなこと、こんな状況で成り行きで言ってしまいたくはない。
すごく大事な感情だから。
岩「面白いものも見れたし、俺は楽しかったよ」
なんとなく湿っぽくなった空気が嫌で、俺はからかうようにそう言った。
今思うと、これが間違いで、あるいは正解だったのかもしれない。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
