半透明 ページ23
「……佐久間!」
佐「はい、佐久間です!なにやってるの?」
「……授業を干してる」
佐「なるほどであります!それなら佐久間と帰る?」
「帰りません!今日はアホほど飲むと決めました!」
佐「なに?!佐久間は反対です!それなら俺と肉を焼く方がいいと思います!」
「……一理ある!肉を焼くことにします!」
佐「駅前の焼肉屋ならまだランチがやってると思います!」
「一刻も早く向かいましょう!」
なんだって佐久間はいつもこんなに笑顔でいられるのだろう。
あたしも、こういう人でありたかったんだよ。
「実は今日まだ何も食べてなかったの」
佐「あらら。寝坊でもした?」
目の前に運ばれてきた格安の定食に、目の輝きを抑えられない。トングでカルビをひっくり返しながら、佐久間と少し話をした。
「うん。ちょっと昨日寝られなくて、起きたら3時前だったの。もうビビったよ」
佐「3時前?!そんなのさっきじゃん!」
「やらかしたよね。今日1個も授業出られなかった」
佐「てか、寝られなかったって、Aにしては珍しくね?乙女の悩み?」
小皿にタレを注ぐ手が思わず止まる。
なぜか、ドキリとした。
"乙女の悩み"って、なに?
なべしょについて色々と考えて眠れなくなったけれど、それって別に"乙女の悩み"なんて華々しいものじゃなかったはずだ。
あたしにはそんなの、似合わないでしょ。
というより、似合ってしまうようでは、いけないでしょ?
「……またまたぁ。乙女の悩み、って。そんな人に見える?」
あたしはそんな悩みは抱いちゃいけないから、佐久間に否定してほしかった。
Aが恋で悩むなんて似合わねー!って、バカにして笑い飛ばしてほしかった。
でしょ?って、笑って返して、何もなかったことにしてしまいたかった。
だから、呆れたように、苦笑しながら佐久間にそう聞いてみたら。
佐「え?見えるけど」
「んぶっ、」
きょとんとした顔であまりにもアッサリと返されてしまって、衝撃でカルビが喉で暴れた。
グラスの水でなんとか喉のカルビを落ち着けてから、佐久間をじっとりと睨む。
佐「ん?」
お米をかっ込んで頰を膨らませた佐久間は、まるでいつも通りのクリクリの目であたしを見た。
「…………美味しいね」
佐「うん!」
そんな顔されたら、毒気なんて全部抜かれてしまうでしょ。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます!なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい!この作品大好きです!!これからも頑張って下さい!楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかゆ | 作成日時:2019年2月1日 14時