役割 ページ29
0時を少し回った夏の夜。じっとりした空気の中を押し進むようにゆっくりと歩みながら、ぼーっと今までのことを考えた。
シェアハウスに暮らし始めてすぐのころのこと。
シェアハウスがどんな感じか、どんな人が住んでいて、あたしはどんな風に生活してるのか。色んなことを木村くんに話した。
6人の平和な日常がもしも壊れる日がくるとしたら、その原因になり得るのはきっとあたしだ、ということも。
男女間の友情を信じてないわけじゃない。だけど、それの実現は限りなく難しい。男女で一緒に暮らす上で、お互いの性別を意識しないのはきっと無理だ。
だから、せめて一緒に住む"以上"を求めてしまわないようにだけは気をつけよう。
そう決意したのは、シェアハウスに暮らしはじめて、1ヶ月ごろのこと。
木村くんの言葉がフラッシュバックする。
"俺を捨てるからには、覚悟くらい決めなくちゃダメじゃない？"
木村くんの言っていたことが、わかるようで、わからない。
わかりたくないだけなのかもしれない。
だけどただ1つだけわかることがあるとするなら、"覚悟を決める"ということは、いずれ必ず必要になるんだろう、ということ。
それがどんな内容であるかは、まだわからないとしても。
あぁ、きっと、7人でこのままではいられないんだ。そんな思いが、漠然と浮かんだ。
夏の夜の空はなんとなく濁っていて、まるで今のあたしたちの人間関係みたいだなぁなんて、他人事みたいに考えた。
病み上がりのせいもあって、今日はなんだか疲れた。
コンビニに寄って、甘いものでも買っていこう。
と考えたと同時に、無意識に浮かんでしまった、見た目に反して甘いものが好きな、あの人の顔。
「………、」
咄嗟にその顔を頭から追い出して、気まずさに唇を噛む。
ああ。
どうか、まだ、答えを出さないままでいさせてください。
もう少しだけ、この恋愛のモラトリアムに浸らせてください。
誰にでもなく心の中で懇願していたら。
「……ん？」
背後からふと、視線を浴びているような感覚がして、思わず振り返った。
0時を回った夜道には、当たり前のようにあたし以外はいなくて。
「……気のせいか」
嫌な感じを受けながらも、もしかしたらまだ病み上がりなせいかもしれない、と思い直して。さっさと帰ってしまうが吉だと、帰路を急いだ。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
