バイト:I ページ2
深「照、今日がタイミングだと思わない？」
なんの変哲も無い日。
俺とふっかが2人だけで部屋で寛いでいたら。
岩「……なんの？」
ふっかが、悪い顔をしていた。
深「前言ったじゃん。Aちゃんのバイト先行ってみようって」
岩「えっ、あれ本気だったの？」
深「本気だわ！本気本気。今日Aちゃんバイトだし」
岩「場所知ってんの？」
深「今日のためにそれとなーく聞いといた」
岩「用意周到だなぁ」
得意げに、親指を立てて俺に見せる。
キラキラした目で俺を見て。
岩「………しょうがねーな」
深「さすが照！よし行くぞ！」
言わされた気がする。
ふっかの案内で、10分ほど歩いて駅へ。
岩「絶対チャリで来た方が良かったじゃん！あちーよ」
深「Aちゃんが歩いて行ってるから油断した…」
ジリジリ照りつける夏の太陽が俺たちを焼く。
深「確かこの辺だと思うんだよねー……」
駅前にはいくつかのパチ屋があって、そのどれかなのだろう。
深「あっ、これだ！黄色のキャラクター！」
岩「……今更だけど入りにくいな」
ふっかが指差す先には、閉まりきったドアからも微かに騒々しさが伝わってくる、白い外壁の店。入り口のそばには雑多に自転車が止めてあり、黄色くて丸いフォルムのマスコットキャラクターが微笑んでいる。
深「いかにも、だな」
人が通るたびに自動ドアが開き、音の濁流が漏れる。
気圧される。本当にここで働いてるのかよ。
岩「やっぱ帰る？」
深「せっかく来たのに？一言声かけてこ」
強張った顔のふっかとともに、店内に一歩を踏み入れた。きっと俺も、ふっかと同じような顔をしているんだろう。
入った途端、音、煙、光、人！
効き過ぎなくらいの冷房で、店内は涼しかった。
真っ赤な床に隙間なく並べられた機械からは、これでもかっていうほどの音が鳴り響いて、同時にめまぐるしく光っている。
狭い通路に、人がひしめいて、そのほとんどがタバコを片手に台へと向かっているせいで、咳き込みそうなほど煙たい。
深「………」
ちらりと伺えば、呆気にとられた顔のふっか。たぶん俺もまた、同じ顔をしてる。
騒音がすごくて、もはや１つ１つの音を聞き取ることはできない。
岩「一回出る？」
深「……え？」
数センチの距離の俺たちですら、お互いの声が聞き取れないなんて。
岩「一回出るぞ！！」
深「あ、おう」
とりあえず、居ても立っても居られなくて、ふっかの腕を掴んでその場を飛び出した。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
