夏祭り ページ45
「わたあめ可愛い〜」
岩「可愛い？美味しいじゃなくて？」
「美味しいし可愛いじゃん。これ部屋に飾りたいもん」
結局協力戦になってしまった射的の勝負は、チャラということになって、雪だるまはあたしのものになった。
2人で1つのわたあめを買って、両はしからつつく。
露店を見て回って、きゅうりが苦手な照の前であえてきゅうりの一本漬けを食べたりなんかしてるうちに、いつの間にか緊張は解けて楽しく過ごせていた。
だから忘れていたんだ。
本来、7人で来るはずだった、ってことに。
わたあめから割り箸が突き出るころ、あたしはやっとそのことを思い出した。
「えっ、てか他の5人！やばい、合流するの忘れてた！」
照が連絡してくれているから、と思って、あたしはすっかり忘れきっていた。
どうしよう、という意味をこめて照を見る。
けど、照は別段驚いた様子はなくて。
おかしいな？なんて少し気にかかったけれど、それよりもまず5人に連絡しなくちゃ、という気持ちが大きくて、下げていた巾着に手を突っ込んだ。
あの人たち、あたしがオールで丸1日帰らなかっただけで、会議開いちゃうくらいの心配性だから。
照が一緒とはいえ、こんなに長い時間なんの連絡もなかったら、面倒くさいくらい心配してくれてるに決まってる。
メッセージたくさん来てるかも…と、スマホを取り出そうとしたら。
あたしはスマホを取り出すことはできなかった。
「…………へ？」
照が、あたしの腕を掴んで止めたから。
意味がわからなくて、照の顔を見上げる。
照は、気まずそうな、申し訳なさそうな顔。
なんでそんな顔するの？
なんで、あたしがスマホを取り出すのを、止めたの？
「……ひかる、」
照の様子がいつもと違くて、思わずこぼれた。
岩「………A、ごめん。今日だけ、スマホ見ないで」
「……え？」
岩「……あとでちゃんと説明するから、お願い」
「えっ、ちょっ、」
照はそのまま、あたしの右手首を大きな手で優しく握り込んで、引っ張るようにして歩き出した。
またさっきまでの緊張が溢れてきて、混乱とともにあたしの心をギュウギュウ締め付ける。
夏祭りの赤い光と、行き交うたくさんの他人たち。
全てが流れて線になっていく。
あたしの視界には、照の背中だけ。
右手首が熱い。
どこに向かってるのか、何が起きてるのか、わからない。
けど、このままずっとこうして着いて行ってしまいたいと思った。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
