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『君に渡したい物があるんです』
「僕に？」
『えぇ。
………これです』
少し古ぼけたアルバムをハリーに手渡す。
「これ……」
『君と、君のご両親です』
中のページには、赤ん坊を抱いた女性とそれに腕を回している男性が幸せそうにこちらへ微笑んでいた。
「………どうして、先生がこれを？」
『…………君のご両親と僕は
学生時代友人だったんですよ』
「先生が？」
驚いた様子のハリー。
僕はゆっくりと言葉を紡いだ。
学生時代、寮が違った僕らだけれど確かに友情を誓いあったこと。
悪戯好きのジェームズによく振り回され、しっかり者のリリーがいつも彼を叱っていたこと。
そして、あの日の夜のこと。
ハリーは時々嬉しそうに笑い、そして辛そうに顔を歪ませながらも最後まで静かに聞いてくれた。
「ポップルウェル先生……」
『はい……なんですか？』
「僕……僕は……」
『………』
震えている小さな手を握ってあげる。
が、僕の手もかすかに震えていて、僕達はお互いに目を合わせた後、2人して吹き出した。
「あははっ」
『ふふっ』
暫く笑いあって、なんとも言えない幸せな時間を過ごしていると
ハリーが突然真面目な顔になって僕を見た。
「先生……。
これからも、僕の味方でいてくれますか？」
予想外の言葉に思わず目を見開いたが、ゆっくりと目を閉じ、そして彼へと微笑んだ。
『もちろんですよ、ハリー』
これからは、もう1人ではないよと伝えると
目に涙を浮かべたハリーが勢いよく抱きついてきた。
少しよろけそうになりながらもそれを受け止める。
「僕……嬉しいですっ。
先生、ありがとうございますっ」
『えぇ……。
僕も嬉しいです、ハリー………』
お互いを大事に抱きしめ合いながら、僕達は怖くなるほどの幸福に包まれていた。
「先生」
『ん？』
「大好きです」
『………！
ふふっ、僕もですよ
ハリー』
君を守れた。
ただそれだけで、僕は世界一の幸せ者になれるんだ。
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わさび(プロフ) - ぴうさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！一気読み！？あ、あまりご無理なさらずに！！！ (5月22日 22時) (
レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
ぴう(プロフ) - うぁぁ、タイプだぁぁ面白いです！これから一気読みします！ (5月20日 18時) (レス) id: c288b38476 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - 龍さん» わぁぁぁ！ありがとうございます！！そう言っていただけてとても嬉しいです！！ (2022年8月22日 22時) (レス) @page42 id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
龍(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！続き楽しみにしています！ (2022年8月22日 20時) (レス) @page43 id: c13f564568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび | 作成日時：2022年8月1日 22時
