146話:紅薔薇の彼ら ページ9
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慣れに慣れたカチューシャの孤児院生活。
何も知らないフリをするのは本当に大変だった。
あれ?なんで知ってるの?なんて言われると何て返せばいいのやら…。
今の私は13歳。
もうジョルノとも会った。
ジュリア「Aー!庭の花壇のお花に水あげてきてー」
『はーい』
私はジョウロに水を入れて庭に出た。
ちょっと面倒だけどこれは私の仕事だからねぇ。
んー、すごいいい天気。
花壇のお花も嬉しいだろうな。
美しい植物を見ると彼、ジョルノが思い浮かぶ。
まだスタンドも自覚してなくて、黒髪の彼。
黒髪の幼い彼も可愛くていいけれど、美しい花に囲まれながら私に微笑む成長した彼を想像すると、思わず笑みがこぼれた。
さて、と。私は花壇の横に目を向けた。
カチューシャを鮮やかに飾ってくれている「バラ」。
……小さい頃からずっと、この庭に咲くバラが苦手だった。
一見美しく見えるコレはただ美しいだけではないと感じていた。
実際に前回で猛毒だったことが分かったし、気持ち悪いほど鮮やかな紅は私に何か伝えたそう……な気がしないでもない。
『……ありがとう。前回はあんたのおかげで復讐できたわ』
……いやいや、何してるんだ私。
バラにお礼とか…ずいぶんメルヘンチックね…
それにしてもキレイだな。
…………一本だけ、気をつけて取ろうかな。
このバラでもう一度毒の粉を作らないと。
私がバラを手折ったその時。
背中に電撃が走って足が止まった。
〈何か〉が私の肩に手をかけた瞬間凍ったように冷たくなった体が硬直し、緊張で握りしめた反対の手は爪が食い込んで血に染まっていく。
子どもの声。
小さな手。
動かない足を必死に動かし、ドクドクとうるさい胸を押さえつけて、私はその場から一気に逃げ出した。
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年7月27日 2時