153話:いやだ ページ16
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中に戻る皆の後ろを着いていっていると、不意に袖を引っ張られた。
……?
ベリー?なんだかすごく不満げな表情だけど…。
『どうしたの?』
ベリー「……Aはさ……あの、ジョルノっていう男の子が好きなの?」
『ブッ…!?は、はぁ?なに、急に……』
ベリーはまた俯く。
あぁー、眉間のしわがさらに…
ちょ、ちょっとベリー…
ベリー「……私はやだ…。
Aがあの子のこと好きだったら…」
『…えぇ?何よ本当、どうしたの?』
ベリー「やだ、あの子はやだ…。
だってAにはリタがいるじゃん…!
リタがAを幸せにしてくれるよ…!」
『リタ…?なに言ってんの……私は皆好きだし、皆に幸せにしてもらってるよ。だって私達は家族でしょ?』
ベリー「そ、そうだけど…でも……ぅ…。
もういいっ!私お父さんのとこに…あっ……」
『……ベリーったらぁ!ふふふ』
ベリー「レ、レオのとこに行く!
みんなに言わないでよ!!
間違えちゃっただけだから!!!」
『…もぉ、可愛い子ね。
いいんじゃないの?
レオは実質私達のお父さんみたいなものじゃない』
顔を真っ赤にさせるこの子が可愛くて仕方ない。
私の言葉を聞いて少し嬉しそうに頷いたあと、彼女は走ってみんなの所に戻っていった。
はぁ……お父さん、ね。
母親がヒステリーを起こして叫ぶから言えなくなった言葉。
私の中で当たり前の如く禁じられるようになった、その言葉。
本物じゃあない偽物だけど、でもきっと…
───『お父さん』───
そう思ってた。信じてたのに。
私が初めてそう呼んだ時、レオは何も口にすることなくただ優しく抱き締めてくれた。
その暖かさに胸が苦しくなったのを覚えている。
……嬉しくて泣いたのはあれが初めてだった。
曖昧な記憶の中から、はっきりと、ほんの一部の記憶が蘇ってきた。これは……1回目の時だったな。
───『お父さん…っ……大好き、大好きだよ』───
───『ずっと一緒に居てね、
なのに。
酷いよ、レオ
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年7月27日 2時