37話 ページ38
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吹雪「違う雪村! 僕はキミをッ…」
雪村「馴れ馴れしく呼ぶな!」
吹雪「ッ…」
吹雪は伸ばしていた手を、雪村の一言で手を引っ込めた。
Aはすっかり変わってしまった雪村に、驚きで声を出せない。唯二人の言葉を聞くだけでいる。
雪村「今のアンタは、倒すべき"敵"だ」
白咲「その通りだ雪村。…フィフスセクターは決してキミを裏切ったりしない」
白咲は雪村の肩に手を置いて、まるで洗脳するように耳元で語り掛けた。
A「豹牙に触るなッ…!!」
白咲が雪村の肩に手を置くというその行為に、Aの眉はぴくりと反応し、苛立ちが込み上げていくと我慢できずに叫んだ。
その声はいつもの優しい声色ではなく、トーンは下がり低い声で少し黒さが混じっている。
白咲「おおっと、怖い怖い。余程キミは雪村を大切にしているようだ」
A「…触るなって言ってるのが解らないの?」
吹雪「Aちゃんっ…」
Aは白咲に歩み寄ると、雪村の肩に触れる手を掴んでキッと睨み付けた。
だが白咲は顔色ひとつ変えず、唯ククッと何処か面白そうに笑っていた。
その笑いが癪に触れた瞬間、雪村が白咲とAの手を軽く払ってAの腕を掴んだ。
Aは突然の事に少し驚く。
A「ひょう…」
雪村「姉さん……俺達の所に戻って来なよ」
A「…!」
Aは雪村の言葉を聞いて目を見開く。その時に雪村は目を細めてAを見詰めると、まるで縄で縛り付けられたように身動きが取れなくなる。
雪村「姉さんは雷門に居るべきじゃない、俺たち白恋に居るべきだ。あんな奴らの所なんかに置いていけない」
A「豹牙…何言って…っ」
白咲「雪村の言う通りだ、元々Aさんは俺たち白恋側の人間。戻って来ても何の問題もない、可笑しくなんてないんだから」
白咲がAの肩に置いてニヤッと笑った。その笑みを見て何かに吸いこまれかけた時、吹雪がAの腕を引いて抱き寄せると白咲を睨んだ。
雪村はチッ…と舌打ちをして、吹雪を睨む。
白咲「おやおや、失敗か……まあいい。我々白恋が勝った場合、必ず戻ってきてもらいますから。では、後日フィールドで」
白咲はAたちに笑を向けた後、雪村と共に暗闇の中へと消えていった。
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作者名:りはる | 作成日時:2020年4月1日 2時