第16話 包帯 ページ17
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巻き終える頃に、遠くの方で私の名を呼ぶ声が聞こえてくる。
知ってる人物だと分かれば、
つい安心して強ばっていた足の力が抜ける。
『あ……銀時さん』
「じゃあ、俺はそろそろ行くよ」
逃げるように急に立ち上がると、
傘を担ぎ、路地裏のもっと奥の暗がりに向かって
彼は歩き出す。
そんな気まぐれで立ち寄った、くらいの感覚の彼から
目を離さずにいると、
思い出したように体を回転させ、私を見つめ返してきた。
急な動作にドキリとする。
薄い唇が言葉を紡いだ。
「さっきの奴は、ヒメサマを狙ったんじゃない」
『えっ』
「狙われてるのはアンタだよ。A」
発せられた言葉の意味よりも、
自分の名を呼ばれたことがひどく耳に残る。
その後、" ネラワレテル? " と頭の中で繰り返す。
内容を理解しようと努める私を待っているほど、
彼は暇ではないらしい。
何か言わねばと渇いた喉を動かす頃には
彼の姿はどこにもなかった。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時