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ころんside
トイレに起きて、また自室へ戻ろうと廊下を歩いていたら、Aの部屋から何やら咳き込むような音が聞こえた気がした。
しかしドアが開いていないので、よく聞こえない。
(ただ咳き込んだだけか?)
そう思ったが、Aが喘息持ちだったことを思い出し、様子を見て損は無いだろうと恐る恐るドアを開けた。
「Aー?大丈夫…って、やっぱり…!」
開けてすぐにAを見ると、肩を上下させて苦しそうに辛うじて息をしていた。どう見ても喘息の発作で間違いないだろう。
「吸入器の場所、わかる?」
すぐに駆け寄ってAの背中を擦りながらさりげなく顔を除きこんで尋ねる。顔を見ると唇の色などはまだ正常で、“チアノーゼ”という肌などが紫色がかるという症状は出ていないようで一先ず安心した。
するとAが引き出しの方向を指差したので、急いで引き出しを開けてがさがさと漁る。
幸いすぐに吸入器は見つかり、Aの元へ持って行きくわえさせる。
吸入器を当ててしばらくすると、苦しそうだった咳はほとんど止まって呼吸も安定してきたようだった。
『……はぁ、ごめんねころち』
「何で吸入器しまってたの?!僕が気付かなかったら、もっと苦しくなってたかもしれないんだよ?」
Aの言葉を遮って、つい大きい声を出してしまった。
『…ごめんなさい』
「僕……本当に心配っ…したん、だから!」
部屋に入ったときはAを助けることに必死で、しっかりしなきゃという感情で冷静さを保てていたものの、安心した今、緊張の糸が切れて、涙が勝手に溢れてきた。
昔もこんなことは何度かあったけど、その度にAに万が一のことがあったらと恐ろしくて、怖くて堪らなくなるのだ。
Aをぎゅっと、でも苦しくないように優しく抱き締めた。
「はぁぁ……よかった…!」
『……心配、かけてごめんね。ありがとう、ころちゃん』
「ちゃんと吸入器置いとくこと!いいね?」
『はい…』
「もう僕今日ここで寝る」
『え?』
「いいでしょ、はいおやすみ〜」
泣いたところを見られた照れ隠し……では決してないけど、Aに背中を向けて隣で寝転がる。
少し経つと後ろから規則正しい寝息が聞こえて、起こさないように静かにそちらに体を向けて、そっとAを後ろから抱き締めた。
腕の中にAの体温を感じて、安心して眠りにつくことが出来た。
朝起きたら2人揃って叫び声を上げることは……
まだ知らない。
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つばさ - とても楽しかったです (7月5日 6時) (レス) @page47 id: dd93105dfa (このIDを非表示/違反報告)
あや - 久々に観に来ました!何回見ても飽きないです!ここまでお疲れ様でした! (2022年8月15日 13時) (レス) id: 7e40220ef6 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - 野菜さん» 申し訳ありません…。現在リクエストは締め切ってしまっていまして、この話は「骨折」で終了する予定なんです…。ですが、続編を作る予定ですので、少し先になってしまうかもしれませんがそちらで書かせて頂きたいと思います!リクエストありがとうございます…! (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - さきさん» わ〜凄くわかります!!あの眠くなっちゃう現象は何でしょうね…?やっぱり安心する声だからでしょうか…! (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - 海月さん» 温かいコメントありがとうございます…!少しずつですがこれからも頑張りますので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2019年9月20日 0時